本格的なDX着手は1割

TDB調査 初期段階は多数

DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現が求められる中で、その本格的な取り組みに着手できている企業は少ない。帝国データバンク(TDB)調査によると、初期段階の取り組みである業務環境のオンライン化などには多くの企業が着手しているが、デジタル技術を活用した製品・サービスの高付加価値化や新規創出は全体の1割にとどまる。12月2~7日にインターネットで調査を実施(有効回答企業数1614社)。DX推進に向けた取り組みを実施している企業は81・8%で、取り組んでいない企業は17・0%だった。10業種別で取り組んでいる企業の割合が最も高かったのは金融の91・7%で、運輸・倉庫業は72・6%と最も低かった。DXに取り組んでいると回答した企業(全体1320社、運輸・倉庫61社)の具体的な内容を見ると、DXの初期段階であるペーパーレス化やオンライン会議設備の導入は6割以上、デジタルデータ化やリモート設備の導入も5割に近い割合。その一方でデジタル技術を活用した既存製品・サービスの高付加価値化や、新規製品・サービスの創出は全体の1割で運輸・倉庫はさらに低水準にある。企業規模別では、大企業はオンライン会議設備の導入が8割超にのぼったほか、ペーパーレス化やリモート設備の導入も半数が推進。中小企業も半数以上がペーパーレス化などを進めているが、ほとんどの項目で大企業を下回り、とくに小規模企業からは費用面に対する懸念が聞かれる。TDBでは「感染拡大を機に業務環境のオンライン化の急速な進展でDX推進の初期段階はクリアできているが、ビジネスモデルや組織マインドの変革までは進んでいない」としている。