政策パッケージ、製造業で高い理解度

JILSが実態調査結果公表

日本ロジスティクスシステム協会(JILS、大橋徹二会長)が行った2024年問題対応に向けた実態調査結果によると、政府の物流政策パッケージやガイドラインについて、とくに製造業の把握・理解度が高いことや、荷待ち・荷役時間の削減では製造業・物流業で問題意識が高い一方、流通業では低いことなどが明らかとなった。多重下請構造是正への取り組みや、荷主の物流管理統括者の設置に関してはあまり進んでいない結果となった。JILSメールマガジンに登録する発着荷主(製造業、流通業)、物流事業者に依頼し8月にインターネット調査を行い310人(製造業36・1%、流通業12・9%、物流業40・0%、その他11・0%)の回答を得た。6月に公表された「物流革新に向けた政策パッケージ」、「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」に関して77・7%が内容を把握、確認と回答した。製造業が83%で物流業(77・4%)、流通業(72・5%)を上回る。製造業はこのうち「内容を理解し、自社が取り組むべき項目を把握」も35・7%と最も高く、法制化に向けた対応・検討が進んでいるようだ。政策パッケージで最も関心が高い取り組みは全体で「荷待ち・荷役時間の規制的措置等導入」。続いて「適正運賃・価格転嫁」、「物流DX」、「共配輸配送の促進」、「物流標準化」が高かった。輸送費(運賃・料金/ドライバー賃金)の上昇について、「積極的に取り組んでいる」は物流業47・6%に対し、荷主は製造業30・4%、流通業32・5%に留まり、「取り組んでいない」も約2割存在する。「運賃と料金の分離」については荷主と物流事業者間で認識の差異もあり、物流事業者の要請を荷主が認識できていないなどいくつかの可能性が考えられるとした。荷待ち・荷役時間削減への課題認識はグラフの通り。約半数が「大きな課題」と回答するが、流通業は3割弱に留まる。また、その対策について「積極的取り組んでいる」は全体で3割、物流業、製造業が課題認識との差異が大きい。多重下請け構造の是正ではとくに物流業で課題と認識する割合が高いが、製造業・物流業は課題認識の割合が半数以下。対策について全体的に取り組んでいる企業の割合は少なく、製造業は35%が「取り組む予定はない」と回答している。物流管理統括者の設置では製造業、流通業とも約半数が課題と認識する一方で両業種とも約4分の1程度は「特に課題感を感じていない」と回答。対策について「取り組んでいる」は約4分の1分で、「分からない」も約3割あり具体的な情報が乏しく、検討をはじめられない状態も想定される。