改正貨物法時限措置延長を

激変緩和措置「最低でも延長を」全ト協要望

全日本トラック協会(坂本克己会長)は24日、自民・公明トラック議連に対しトラック運送業界の最重点要望事項として「標準的な運賃・荷主対策深度化の時限措置延長」、「改善基準告示見直しに係る厚生労働省による荷主対策の実行性確保」を求め、タクシー、バス両業界団体とともに「燃料価格激変緩和措置等の延長」を要望した。斉藤鉄夫国交大臣、西村康稔経産大臣、加藤勝信厚労大臣にも要望を行った。改正貨物自動車運送事業法に係る「標準的な運賃」、「荷主対策の深度化」は2024年3月までの時限措置。全ト協では新型コロナの影響や燃料価格の高騰で厳しい経営環境が続き、会員事業者から今後も継続が必要との強い要望があるとし時限措置の延長を要望した。議論を進めている改善基準告示の見直しでは、荷主都合による待機時間や荷役作業で労働時間が長くなる実態を受け、厚労省が荷主企業に対し長時間の荷待ちを発生させないよう要請するなど新たな荷主対策を講じることとしている。全ト協では改善基準告示の運用にあたって、労働基準監督署によるトラック運送業への指導においてはこの対策が浸透し、商慣習が見直されるまでの当面の間、実態に即した指導がなされるよう配慮を求めた。また、燃料価格が依然高止まりの状況にあることから、全国ハイヤー・タクシー連合会(川鍋一朗会長)、日本バス協会(清水一郎会長)とともに9月末までを期限とする激変緩和措置等の延長を要望した。
●改善告示見直しは「荷主対策の実効性」を
自民党トラック議連、タクシー・ハイヤー議連、バス議連合同コアメンバー会議において3団体を代表して挨拶した坂本会長は「我々は地域の暮らしと経済を支える基盤産業であり、しっかりと仕事をしたら正常なる収益をあげる必要がある。適正な運賃を収受しドライバーの労働条件を改善すること。最大の課題は燃料高騰であり、最低でも今の仕組みは延長してもらいたい」と強く訴えた。出席した国交省の堀内丈太郎自動車局長は激変緩和措置の延長について「実施状況や原油価格動向を見極めながら資源エネルギー庁など関係省庁と連携してしっかり対応する」とし、改正事業法の時限措置では「議員立法であり国会で延長の賛否が議論されることとなるが、国交省も制度延長への取り組みに必要な協力を行う」と述べた。厚労省の鈴木英二郎労働基準局長は荷主対策について「改正改善基準告示の24年4月施行を待たずに実効性をあげるべく12月の告示改正後すみやかに実施したい。トラック事業者の遵守へ十分周知を行いながら、荷主対策でもトラック事業者が守りやすいよう指導も丁寧に対応したい」との考えを示した。同日、斉藤国交大臣、西村経産大臣に対して3団体により「燃料価格激変緩和措置等の延長」を、加藤厚労大臣には全ト協が最重点要望事項についてそれぞれ要望を行った。斉藤国交大臣は「エッセンシャルワーカーの皆さんを支えるのが国交省の使命。燃料価格対策にいては、9月末までにすべての状況が改善するとは思えない。状況を見ながら引き続き応えていきたい」と述べた。さらに「岸田総理のもとパートナーシップ会議において、適正な価格転嫁こそが日本の経済をプラスのスパイラルにするものとしている。荷主団体等への働きかけも引き続き行っていきたい」との意向を述べた。