好事例紹介し改善後押し、厚労省荷主対策

発注担当者に告示周知徹底

厚生労働省は昨年12月の改善基準告示の改正に伴い「荷主特別対策チーム」を編成し、トラック運転者の長時間労働の是正に取り組んでいる。立ち入り調査時の情報のほか、長時間の荷待ちに関する情報窓口を設置し、これまで数十件の情報が寄せられ、これらから労働基準監督署が荷主等に協力要請を行うとともに好事例を紹介し改善を促す。併せて発注担当者に対する改正告示の周知を徹底させている。荷主特別対策チームは、都道府県労働局で新たに任命した荷主特別対策官を中心に、トラック運転者の労働条件の確保・改善に知見を有する労働局・労働基準監督署のメンバーで構成。監督署が、発着荷主等に対し長時間の恒常的な荷待ちの改善に努めることと、運送業務の発注担当者に改善告示を周知しトラック運転者が遵守できるよう協力を要請するもの。監督署の通常の運送事業者に対する立ち入り調査において、改善告示違犯の実態があった際、そこから荷主等の長時間荷待ちに関する情報や、厚労省HPに設置した「長時間荷待ちに関する情報メール窓口」などから要請を行っている。情報窓口は匿名性があり、入力フォームには1回当たりの荷待ち時間や指示を受けた回数、行政に求める対応の項目欄も示され、より具体的な情報が得られる。厚労省によると、数時間の荷待ちや多数回の事例もあり、これまで得られた数十件では発荷主、着荷主、元請けでとくに偏った傾向はみられないという。要請時はこれらの改善とともに、改善告示の周知では発注担当者との接点に重きを置く。発注した際に改善告示を守られる内容か、不明な部分も想定され、労務担当者だけでなく発注担当者も同席あるいは要請事項が確実に伝わるようにした。さらに要請時に荷主等から長時間荷待ちを具体的にどう改善するかの対応を念頭に、別途、労働局の適正化指導員が改善策の好事例などを紹介する働きかけも行っている。国交省など省庁連携の中央協議会で取りまとめたガイドラインなどを提示。これにより荷主等が要請事項に積極的に取り組めるよう後押しする。荷待ちの改善策も荷主等の事業環境や投資負担、人員体制と複雑に絡み、個別状況に応じた適正な事例を紹介することで取り組みを促す。監督署では情報収集から1カ月単位で計画を組んでおり早期に対応している。厚労省としてはこうした荷主対策は初めてであり、改善点、気づきなど共有していく。国交省とも双方目安箱からの情報など連携しており、さらにトラック運送事業者からの情報提供を求めている。
●改善告示を周知徹底、要請文書を発出
厚生労働省、国土交通省は13日付で連名で「自動車運転の業務への時間外労働上限規制、改善基準告示の適用に向けた周知について(トラック運手者)」の要請文書を関係業界団体等に発出した。上限規制と改正改善基準告示の円滑な適用には、荷主とトラック運送事業者が協力して、取引環境を変えていく必要があり、関係省庁で連携し、これら改正事項と取引環境、長時間労働の改善について周知徹底を図る。同封したリーフレットを活用し、トラック運送事業者には、 上限規制と改正改善告示の適用に向けた準備を、荷主等にはトラック事業者が告示内容を遵守できるよう、長時間の荷待ちを発生させないことなど理解・協力を求めた。