大髙一夫東ト協会長逝く

「中小の目線」で実績残し

東京都トラック協会第6代会長である大髙一夫氏がかねて病院療養中のところ、20日午前6時9分、逝去した。享年76歳だった。昨年夏頃、激務の間を縫って仲間と海外旅行に出かけたりしたのだが、旅行中も癒えることはなかったらしい。帰国後も業界活動の手をゆるめることはなかったが、顔のやつれが目立つようになり「大髙会長は大丈夫か」といった声が周辺でささやかれるようになった。

大髙会長の協会運営に当たっての視座は、中小企業の目線に立った会員重視、支部重視だ。この一環として月に何度か、各支部執行部との間で意見・情報交換を行っていた。こうした活動からくる精神的、肉体的疲労も加速したのかもしれない。

大髙会長の基本方針は安全安心の確保、環境問題への対応、再生産可能な運賃収受等だ。

そして大髙氏が協会運営の姿勢として重視していたのが「求める」だけでなく、「掴み取る」活動。こうしたスタンスで要望し、実現したのが、定期健康診断受診費用の助成事業、改善基準告示違反に関する労基通報の処理について「監査前にまず指導」への変更、Gマークステッカーへの国土交通省の名称使用などだ。

このほか、GEP(グリーン・エコプロジェクト)への取り組み、婚活パーティーの開催、都民参加型の事故防止イベント開催、本部・支部の一体化など、東ト協会長として残した実績は枚挙にいとまがない。

昨年12月4日、都内のホテルで開かれた物流専門紙記者懇談会でのあいさつでは、いつになく熱く語り、珍しく記者からの質問も受けた。

その後の12月10日に行われた本紙の新年号インタビューでも、運送事業経営、協会運営について、思いの丈を語ってくれた。

記者懇などで大髙会長は「会長になって4年余りになるが、その間中小企業の目線でモノをいい、行動してきた。支部・会員の声に耳を傾け、行政や政治に業界の実態を伝え、会員各社の経営改善に努めてきたつもりだ」と述べている。

このときの大髙氏は、多少やつれて見えたが、こんなに急いで逝ってしまうとは想像もつかなかった。

(山田輝栄)

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昨年12月10日インタビュー時の写真