各経費上昇で収益圧迫
TDB6月景気動向調査
トラック運送業界は経費による収益圧迫の状況が改善しない。帝国データバンク(TDB)が発表した6月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比0・1ポイント減の37・1と3カ月ぶりに悪化。うち調査対象の約6割を占める一般貨物自動車運送の景気DIは1・0ポイント減の35・4と2カ月連続で悪化し、今年に入って最も低い水準。販売単価は向上するが、燃料のみならず各経費が上昇し仕入単価の上げ幅が大きい。TDB調査では全体の景気DIは前月比0・2ポイント増の41・4と4カ月連続で改善した。国内景気はプラス、マイナス要因が交錯し、業種・地域で景況感は分かれ改善も小幅。しかし今後は物価上昇の勢いが懸念材料ながらも緩やかに上向くとみている。4業界が改善し、5業界が悪化した。人流が復調して対面型サービスを中心に上向いた一方、サプライチェーンで部品の調達難が継続し、自動車産業を中心とした生産活動の停滞や、原材料価格の高騰が下押し要因となった。運輸・倉庫業の指標をみると、軽油など燃料価格が再び上昇傾向となり、仕入単価DIは73・6(前月72・4)と3カ月ぶりの上昇に転じた。販売単価DIも54・2(53・2)と2019年12月(54・5)以来の高い水準となったが、仕入れ単価DIの上げ幅が大きく、70台の指標が8カ月続いており収益を圧迫している。このほか雇用過不足DIは、正社員が59・5(前月59・0)、非正社員は54・9(前月55・2)だった。運輸・倉庫業界は全体の景気DIはほぼ横ばいだが、人流の回復で旅客関係が上向く一方、一般貨物自動車運送の景気DIは4月の37・4に対し5月36・4,6月35・4と下げ、5、6月は運輸・倉庫業界全体のDIを下回る。やはり仕入れの上昇が大きく、事業者からは「燃料、アドブルー、油脂、タイヤなどが上昇し、運賃が低い一方で利益に貢献する項目が何一つない」など燃料以外の経費の上昇も響いている。このほか事業者からは「コンテナの荷動きが活発で、取扱い数量が増加」(港湾運送)、「保管物量、輸送物量も増加傾向」(こん包)など物量は回復の声が聞かれる一方、「原油高、ダンボールなどの包材と物価高の影響や人件費も増加傾向で収支は厳しい」(こん包)、「原油高、円安による燃料などの高騰」(一般貨物自動車運送)などコスト圧力への懸念が引き続き多く聞かれる。TDB調査による運輸・倉庫業界の景気DI見通しは3カ月後40・1、6カ月後42・5、1年後45・6となっている。