具体案提示も平行線

改善基準告示見直し

改善基準告示の見直しを議論する、労政審自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会の第8回会合が18日に開かれ、事務局の厚生労働省が各項目で具体案を提示したが、労使主張は大きく変わらず議論は平行線のまま終わった。拘束時間について厚労省案は「1カ月274~284時間。労使協定で年間6カ月までは年間総拘束時間3300~3408時間を超えない範囲で294~310時間まで延長可能」とし、特例上限294時間超は「3カ月超えて連続しないこと」とした。使用者側は310時間までの特例延長を「時間外労働100時間未満の過労死認定基準を下回るようにし320時間まで認めてほしい。荷主との関係で不測の事態に備えた柔軟な対応」を求めた。労働者側は「320時間は脳・心疾患労災認定基準を大幅に上回るもの」と反論、「年間3300時間は譲れない。バス・タクシーを大幅に上回る削減とすべき」とこれまでの主張を示し依然双方隔たりがある。1日の拘束時間・休息期間の厚労省案は「継続11時間以上の休息期間を基本に継続9時間を下回らない」、「拘束時間は13時間を超えず、最大15時間、14時間超は週3回以内を目安」とバス・タクシーと同水準とした。
これに対し使用者側は「週平均」もしくは「長距離と中近距離」による基準を求めた。労働者、学識経験者側からは週平均では長時間労働を誘発する恐れや管理の難しさを指摘。距離別について事務局は「運用は複雑だができないことではない」とコメントした。このほか厚労省案では運転時間は「現行通り」、連続運転時間は「4時間を超えず4時間30分まで延長」、特例で休息期間の分割は「2分割に限らず3分割も認める」など提示した。また、バス・タクシーでは新たに事故、災害等の「予期しえない事象」を例外的な取扱いとしトラックも同運用を提示。使用者側は荷主都合も求めているが、藤村博之部会長は厚労省の新たな対応策も含め行政の荷主対策の制度を踏まえ「荷主問題は理解できるが、毅然たる態度をもってこれら制度を生かしてほしい」とコメントした。改正改善基準告示(2024年4月施行)は12月の告示公布に向けタクシーとバスは検討結果が示され、トラックは9月までに取りまとめる方向で検討を進めている。