全ト協が名古屋で3年振り事業者大会

勇気をもって荷主と交渉を

全日本トラック協会、中部トラック協会は、「第27回全国トラック運送事業者大会」を5日に名古屋市の名古屋東急ホテルで開催し、全国から1100人の事業者が参加した。燃料高騰対策の推進、適正な運賃・料金の収受、荷主対策の深度化による取引環境の改善、働き方改革の推進による労働条件の整備向上など大会決議を確認、諸課題に果敢に対応していく。全国大会は3年ぶりの開催。挨拶した全ト協の坂本克己会長は事業法改正による各施策に、政府の「パートナーシップによる価値創造のための価格転嫁推進パッケージ」や、各省庁が連携した荷主対策などに言及、「外堀を標準的な運賃で、内堀を荷主対策の深度化で」と例え、「勇気をもって適正運賃収受へ荷主と交渉してほしい」と呼び掛けた。規制の適正化についてもさらに深掘りし「悪貨が良貨を駆逐してはならない。真面目な事業者が持続的に適正な収益を上げてより進化していく」方向性を示した。また議員立法による改正事業法で標準的な運賃と荷主対策の深度化は2024年3月までの時限措置であり「どのように効果があったのか検証に入る。荷主にしかるべき思いを言い交渉してほしい」と重ねて求めた。続いて中部ブロック協会の寺岡洋一会長が挨拶。「中部ブロック担当は10年ぶり、愛知県では19年ぶりの開催。20年前、トラック業界は荷主からは下請け業者の位置付けだったが、業界の地位向上とともに協力会社、ビジネスパートナー、そしてエッセンシャルワーカーと名誉ある呼称をいただいた。全ト協はじめ弛まぬ努力の賜物。大会が担ってきた役割、功績は大きく、大会を通じて諸課題を共有し、1つひとつ克服して取り組みたい」と述べた。パネルディスカッションによる2つの分科会(健康経営への取り組みと交通事故防止対策の推進/ドライバーの確保・働き方改革への対応)、歴史研究家の井沢元彦氏を講師に招いた記念講演会(戦国武将の経営学)を行った後、中部ブロック青年部協議会の山﨑康二代表幹事が大会決議文を述べ、一致団結して取り組むことを確認した。
●取引環境是正を
来賓挨拶した国土交通省の堀内丈太郎自動車局長は「燃料価格高騰では坂本会長をはじめ全ト協が国交大臣含む複数の関係大臣に精力的に要望、説明を行い激変緩和措置が縮減されず延長となった。地方創生臨時交付金では愛知県がトラックに前回17億円、今回も8・5億円の支援をいただいた。各トラック協会も自治体に働きかけてほしい」と求めた。さらに担い手確保への環境改善へ標準的な運賃の活用とともに、とりまとまった改正改善告示でも「長時間荷待ちの取引環境が是正しなければ実効性は上がらない。業界とともに荷主への理解を促し、働き掛け措置も進めていく」と述べた。大村秀章愛知県知事は「コロナ禍の影響が長引く中でも国民生活や経済活動の基盤となる物流を支え貢献いただいている」と感謝を述べ、「愛知県は製造品出荷額で43年連1位、それを支えるのは物流の要のトラック。ITやDXを使いながら近代化をさらに進めてほしい。皆さんがその先頭に立って業界のさらなる発展を」と期待を込めた。