不正発覚倒産、運輸・通信業倍増の54件

TDB調査、全体では5割増の300件

帝国データバンク(TDB)が発表した「コンプライアンス違反企業の倒産動向調査」によると、2022年度の不正発覚による倒産は過去最多の300件、前年度の204件を大きく上回った。うち、運輸・通信業は54件と前年(26件)の倍増。長時間労働など違法な営業活動が発覚し、行政処分を受けた企業が多数発生した。22年度の倒産件数は3年ぶりに前年度を上回り、燃料高や人手不足など厳しい経営環境が続く中で、事業の存続へコンプライアンス違反が発覚し倒産に至る事例も増加している。TDBは架空の売り上げ計上や融通手形など「粉飾」や、過積載や産地偽装などの「業法違反」、所得・資産の隠蔽などの「脱税」といったコンプライアンス違反が判明した企業の倒産を「コンプライアンス違反倒産」と定義し調査している。22年度の同倒産(法的整理のみ、負債1000万円以上)は全体では前年度比47・1%増、2年連続で前年度を上回り、これまで最多だった15 年度の289件を上回り05 年度から集計開始以来最も多かった。15 年度以降緩やかな減少傾向を示し、コロナ支援策で一時的に倒産が抑制されコンプラ違反倒産は表面化しづらくなっていたが、コロナが収束に向かい倒産件数が上向く中でコンプラ違反が明らかになり、信用を失うケースが散見されると分析する。22年度件数の業種別ではサービス業が88 件(前年度35件)と最多、次いで建設業59 件(同45件)、運輸・通信業54 件(同26件)。運輸・通信業は貨物運送が36 件と半数以上、次いで旅客運送が14件だった。違反類型別では「資金使途不正」が69 件(前年度39件)で最も多く、次いで「粉飾」62 件(55件)、「業法違反」61件(42件)。コロナ禍前に増加傾向だった「粉飾」は再び増加の兆し。「業法違反」では、運輸・通信業が構成比60・7%と突出している。長時間労働など行政処分を受けた企業が多数発生、表面化している。