〝秩父モデル〟実装へ

物流と見守り共助機能、大手5社プレサービス

物流・公共交通ネットワーク「秩父モデル」の構築を進める埼玉県秩父市で、物流大手5社が連携した共同配送のプレサービスが27-29日の3日間にわたって行われる。得られた成果や課題を踏まえ、 2023年度以降の本格運用へ検討を進める。「物流機能」と「高齢者を支援する地域の見守り共助機能」を兼ね備えた新しい物流モデルの構築、実装を目指す。秩父市生活交通・物流融合推進協議会(会長=小野田弘士早稲田大学教授)が秩父市の大滝地域で行うもの。地域と物流事業者双方に利益をもたらす物流モデルの構築と地域・物流課題の解決に向け、秩父市と、同協議会構成員であるヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の3社、協力会社の西濃運輸、福山通運の計5社の物流事業者が連携、プレサービスを実施する。佐川急便、西濃運輸、福山通運が大滝地域宛て荷物を「ヤマト運輸影森営業所」に持ち込み、各社荷物を積み込んだヤマト運輸のトラックが「荒川郵便局」に立ち寄る。日本郵便の荷物を積み込んだヤマト運輸が受取人の自宅までそれぞれ配達するもの。人口減少や高齢化率の上昇で日用品確保など日常生活を支える宅配サービスの重要性が増す中、ドライバー不足やEC普及に伴う山間地域の配送エリア拡大による配送効率の低下が課題とされる。秩父市は「秩父モデル」構築への取り組みを2020年11月から推進。今回は物流業界の課題である「運送・配送業務の効率化・平準化」を、同サービスを通して解決し、 秩父市の宅配需要を満たすことで新たな 「秩父モデル」構築を推進する。今年度はプレサービスの成果を踏まえ、共同配送のオペレーションやコスト面での課題を抽出・整理。23年度以降、地元の物流事業者をサービスの体系に加え、 ラストワンマイルの配送を地元の物流事業者が担うことで、物流機能と見守り共助機能を兼ね備えた新しい物流モデルを構築する。さらにゼンリンが開発する「位置情報ビッグデータを管理するデータ基盤」と、「街の活動状況を可視化するダッシュボードシステム」を用いて、共同配送の運行管理をシステム化し、 全国への展開を目指す。