「悪しき商慣習の是正を」 全ト協坂本会長
政府の政策パッケージに期待
1日に開催した全日本トラック協会の理事会で、坂本克己会長は政府が策定する物流の政策パッケージに言及、「悪しき商慣習を是正するもの。仕組み、制度、予算、財政でトラック事業者の負担、負荷の軽減を」と期待を示した。また、国土交通省の堀内丈太郎自動車局長は今国会に提出された貨物事業法時限措置を延長する改正案の〝当分の間〟について「運送事業者と荷主が対等な関係になるまで」と見解を述べ、あらためて荷主への運賃交渉など制度の活用を求めた。理事会の冒頭あいさつで、坂本会長は2024年3月末時限措置である「標準的な運賃」、「荷主対策の深度化」の延長に関する法案が今国会でスムーズに運んでいることや、政府による物流緊急対策の政策パッケーに触れ、「トラック業界の底上げにも荷主対策であり、皆さんが日頃考えていることが盛り込まれる」と期待を込めた。全ト協が時限措置の延長を要望する中で急ぎ今通常国会の審議となったことについて「政策パッケージの中に悪しき商慣習を是正する必要がある。短いリードタイムや長い待機時間などの是正を国をあげて徹底してほしい。制度延長はその受け皿でもある」と説明した。一方、高速道路の料金徴収期限が2115年まで延長した改正道路整備特別措置法が5月31日の参院本会議で可決・成立したことについて坂本会長は「道路における物流拠点機能を強化し、トラックドライバーの生産性向上のための料金設定」を求めた。貨物事業法時限措置の延長は議員立法で「24年3月末までの間」を「当分の間」とする改正案。31日の衆院国土交通委員会で総員賛成、1日の本会議で可決した。来賓あいさつした堀内局長は「参院を残すが通常国会の可決・成立に大きく前進。現場で頑張るドライバーが報われる仕組みを延長してほしいとの皆さんの熱いメッセージによるもの」と述べた。措置延長の〝当分の間〟は「運送事業者と荷主が対等な関係になる時までと考えている。この法律が不要となるまで力を合わせ荷主からしっかり運賃を収受し、長時間の荷待ちや契約外の荷役作業のない世界をつくる」と述べ、荷主との交渉や適正取引を阻害する荷主情報の提供、トラック業界における適正化推進への協力を要請した。また、丹羽克彦道路局長が来賓あいさつで高速道路の料金徴収期限延長に際し「4車線化やサービスエリア機能の高度化など進化事業と設備老朽化の財源確保であり、皆さんの意見を踏まえ使いやすい道路にする」とし、高速料金は「大口多頻度割引最大50%拡充措置を本年末まで継続したが延長するよう努める。24年度からの深夜割は現在設計中で問題ないようスタートできるようにする」と状況を述べた。同日の全ト協理事会では22年度の事業報告書案、収支計算書案などを承認。通常総会(第100回)は6月29日に行う。