2020年以降はどうなるのか

2017年度から22年度までを計画期間とする次期総合物流施策大綱策定に向けた有識者検討会が開かれ、国土交通省が提言の骨子案を提示した。

骨子案では、現在の物流について「労働力不足、EC市場の拡大等に伴う小口化・多頻度化、脆弱なインフラ等の課題を抱えており、もはや、個々の物流事業者や荷主だけでは解決できない危機的な状況にある」との認識を示し、危機意識を露わにした。

今や物流は国民生活に欠かせない存在であり、物流事業者や荷主だけでなく、消費者を含めた国民全体の理解と協力を得て、「この危機的な状況を克服し、今後とも我が国の物流システムに必要な機能を確保するとともに、その機能をより有効に発揮させていく必要がある」としている。

ヤマト運輸の「宅配危機」に代表されるように、物流危機については、各種メディアの報道などもあり、国民の理解と協力を得やすい環境になってきている。

次期物流大綱でもこの期を逃さず、広く国民に対し物流の重要性、必要性をアピールしようという狙いがあるとみられる。

この物流に対する現状認識について、有識者検討会の委員からは「物流への理解を増進することが重要であり、国民意識の啓発は次期大綱で強調すべき」などと異論はなく、野尻座長は「物流が危機的状況にあることは共通認識だ」と述べた。

今後の物流施策の方向性については、有識者検討会での委員発言、関係団体ヒアリング内容、社会資本整備審議会等の答申内容などから集約した。

物流の維持・確保に向けては、トラックドライバーの長時間労働抑制をはじめとして、「労働環境の改善による労働力の確保」が筆頭項目としてあげられ、次いで自動運転、隊列走行といった先進的技術の活用があげられた。

一方で、検討会では「現在の問題に特化しすぎだ。5年後を見て全体像を考えるべき」との意見もあった。また「東京オリンピックが開催される2020年までは経済も高揚感が保持されるが、その後の経済が懸念される」といった意見や「運送業の時間外労働規制は5年猶予されるが、長時間労働の改善は難しい。2020年の後の物流業界がどうなるのか、危機感を持つ」と猶予期間後の残業規制適用を心配する声もあった。経済の見通しにせよ、残業規制の行く末にせよ、2020年以降の物流がどうなるのか、想像力を働かせてみたい。