現場の対話力を高める

4月から一部施行した改正物流法や、6月に成立したトラック適正化2法など、一連の法改正について、各地のトラック協会や関係団体などで講演、勉強会が行われている。規制的措置の荷主への周知は勿論だが、中小が多くを占めるトラック運送事業者が自社で何を取り組むべきかしっかり認識したい。
一連の法改正は施行時期や内容も広範で、1度ですべてを把握するのは容易ではないが、いずれもトラック運送事業者の持続的成長を促すものだ。企業が自社の取り組みに叶った収益を得ること。現場で働く人たちが自分たちの仕事の価値に叶った対価を得て、自らの仕事に誇りと自信を持つ。そうした環境整備であるといえる。
そのためにも、現場がより主体的、自主的に物流改善に動く意識付けが肝要だ。トラックは長時間労働の是正による賃金への影響に不安を感じる面もあろうが、品質改善や物流効率化、生産性向上などによる付加価値の提供に目を向けたい。物流現場の様ざまな課題や要望、意見を汲み取り、課題解決の一方、新たなアイデアを創出する職場づくりが望まれる。
カンダホールディングスはグループの改善活動(ダッシュ活動21)が今年で30回目を迎えた。節目となる今回はドライバー、倉庫・管理両グループ219サークルのうち、予選を勝ち抜いた15サークルが6・7日に中央大会で競い、その成果を披露した。
原島藤壽社長は、ダッシュ活動は働く人達のコミュニケーションの場であり、そこがグループの成長の原動力になっていると話す。「1人ひとりがどうすれば改善するか考えてもらう。ダッシュ活動がきちんとできている職場は、コミュニケ―ションができ、風通しの良い職場である」と参加を促している。
発表の中で目についたのは設定した目標を達成できなくとも、そのプロセスが大事であること。知恵を出し合い改善を重ねていく。目標には未達であっても創意工夫を凝らし、少しでも前進すればモチベーションは高まり、それは企業の成長の大きな原動力になる。
どの物流の職場においても、2024年問題で物流に大きな関心が寄せられていると感じるだろう。同時に、人材の流出防止に必死になっているところも多い。待遇を良くするための適正運賃収受への努力とともに、現場のコミュニケーション力による改善の可能性にも注視していきたい。