新たな規制緩和への対応

「物流の持続的発展のために、EC物流に最適化された新たな物流の仕組みが必要」と考え、新たな小口配送モデルを構築するという。EC大手のアスクルは12日から、経済産業省が所管するグレーゾーン解消制度を活用し、都内の東京ミッドタウンで実証実験を実施する。

アスクルは、顧客からの注文に応じ、その都度、顧客別にピッキング・梱包した荷物を在庫拠点である全国9カ所の物流センターから出荷し、小口配送を行っている。

新モデルは、オフィスビルなどの空きスペースを借り受け、商品の一時保管スペースとして活用するほか、ビル内・近隣エリア内への納品に、台車を用いるというものだ。

アスクルは、グレーゾーン解消制度を用いて国土交通省に確認した結果、「新たな小口配送モデル事業での『商品を一時保管する行為』が、倉庫業法上の登録を要しないことが明確になった」として、実証実験を開始する。

ECの市場規模は、2010年の7兆7880億円から、7年後の17年には2・2倍の16兆5054億円へと急速に拡大し、日々の使用頻度が高い日用品や食品の購入まで、深く浸透している。

背景には、昨年2月の「ヤマトショック」、「物流クライシス」など、ラスト・ワンマイルの配達・持ち戻り・再配達などによるドライバー不足と長時間労働が社会問題化し、物流事業者の運賃・料金適正化が進んだことがあげられる。

EC事業者にとっては、配送料金の高騰や受け入れ数量の抑制などの課題解決が不可欠となっている。

今回、実証実験する新モデルは、納品には配送車両を使わず、台車を使う。つまり、輸配送事業者以外でもラスト・ワンマイルの担い手となることを可能とすることを意味する。

アスクルでは「宅配現場での人手不足問題の解消、労働環境の改善、CO2排出量の削減といった社会的課題の解決」を、この実証実験の目的として掲げている。

新たな規制緩和である。米国では、アマゾンが商品の配達を一般人に依頼する外注プログラム「アマゾンフレックス」が多くの都市で行われている。日本国内でもネット仲介は様ざまな職種に広がり、宅配業のウーパーイーツもその一つの形態だ。

雇用関係は、個人事業主として仕事を請け負い、企業は労災や失業保険負担がなく、社員に比べ人件費を削減できるという。

いま、「新たな規制緩和」への対応が問われているのではないか。