安全確保への意識を徹底

すべての運送事業者は、経営トップから現場の運転者に至るまで輸送の安全が最も重要であることを自覚しなければならない。今年も秋の全国交通安全運動(9月21日~30日)が行われるが、輸送の安全への取り組みを改めて確認・徹底する機会としたい。
国の「事業用自動車総合安全プラン2025」(21~25年)を受け、トラック運送業界では全日本トラック協会が「トラック事業における総合安全プラン2025」を策定しており、今年はその最終年になる。
25年の目標値として、死亡・重傷者数の合計970人以下、飲酒運転事故ゼロを定めている。これに対し24年の死亡・重傷事故の合計は1052人と未達である。前年の23年比では85人(7・5%)減少しており、同様な減少を辿ると目標に近い数値になる。
飲酒運転事故に関しては24年の人身事故件数が16件と、こちらも23年比では7件減少したが、ゼロ目標に対し依然として後を絶たない。
全ト協では秋の交通安全運動におけるトラック運送業界の最重要項目に「飲酒運転の根絶」、「追突事故及び交差点における事故の防止」を掲げる。今年からは国の「交通事故死ゼロを目指す」と連動し、春は4月10日、秋は9月30日を事業用トラックの「交通事故ゼロを目指す日」に設定する。業界一丸となり安全意識を徹底したい。
今年に入り、1―7月の「事業用トラックが第1当事者となる死亡事故件数」は、累計95件と前年同期の116件から21件減少。大型で18件減少している。
何より事故ゼロが第一だが、安全確保へ一定の目標を定め、それを乗り越え、さらに高みを目指す。そうした日々の積み重ねに留意したい。
一方、国の総合安全プランをみると、トラックは人身事故件数9100件の目標に対し、24年は1万3540件。コロナ禍の影響がなかった19年と24年数値を直線的に結んだ25年の予測値は1万3127件で目標値との乖離は大きい。
この数値には軽貨物が含まれる。24年は軽貨物以外が8619件で前年比6・1%減に対し、軽貨物は4921件、1・4%減にとどまる。
軽貨物については国が安全対策強化へ制度改正を行い今年4月に施行したが、事業者への周知はなかなか難しい。国交省ではさらに監査体制を強化していく方針だが、秋の交通安全運動を契機に一層の周知徹底を図りたい。