安全の継続的な改善意識を

国土交通省とリスクマネジメント会社、関係団体が参画する「運輸安全マネジメント普及・啓発推進協議会」の第14回会合が22日に開かれ、第三者認定機関による認定セミナーや評価など活動報告を行った。継続的な輸送の安全確保が求められる中、運輸安全マネジメント制度の普及・定着へ、関係者間のさらなる連携が不可欠だ。
20年前に福知山線脱線事故をはじめ重大事故が相次ぎ、国交省は2006年に運輸安全マネジメント制度を導入した。 安全管理体制を構築し、トップから現場まで一体で取り組む。中小事業者の理解を促すため、12年に「運輸安全マネジメント普及・啓発推進協議会」が発足、翌13年から民間事業者等が国交省の認定を受けて実施するセミナーを行っている。
会合で平嶋隆司大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官は、航空会社の一連のアルコール検査不適切事案や、日本郵便の点呼未実施、酒気帯び運転事案に言及し、「経営管理部門で安全確保へのリスクを認識し、見直し、改善することが制度の根幹。そうした社内文化が醸成され、引き継がれることが大事」とし、セミナー、評価を通じた普及・啓発の重要性を述べている。
第三者認定機関の報告では、国交省から運輸安全マネジメント評価を受けている事業者において、「取り組みを実施していること」が高く評価され、満足している大手事業者が一定数散見される一方、事故状況は決して好ましくない状況も多いという。「どの程度事故が削減されたのか」に焦点をあて、取り組みの有効性評価を推進することが今後さらに重要とのコメントが聞かれた。
協議会には新たに中部交通共済協同組合が加わった。死亡事故、重大事故に発展する事故発生リスクが高まっていることを背景に、トラック運送事業者のリスク管理と風土改善が急務との認識だ。
事業用自動車の事故状況では、飲酒運転事案が後を絶たず、健康起因事故が増加傾向だ。国は飲酒運転防止に係る指導監督義務と点呼実施義務で違反行為を新設(昨年10月施行)したほか、疾病、疲労等のおそれのある運行業務の行政処分基準も強化(4月施行)している。
これら未然防止にも、経営管理部門で安全確保に対するリスクを認識し、PDCAサイクルによる継続的な改善が求められる。運輸安全マネジメント制度が目指すものであり、その果たすが役割はますます高まる。