取引適正化へ具体的な情報提供
国土交通省は、「トラック・物流Gメン」による荷主等への是正指導の考え方などを行政指導指針として公表する。取り組みを可視化することで、規模に関わらず多くの荷主が違反原因行為の認識を深め、通報側のトラック、物流事業者も、どのような情報をあげるべきか判断しやすくなる。
2019年の貨物法改正による「荷主対策の深度化」で、荷主、元請事業者へ「働きかけ」、「要請」、「勧告」の是正指導を行ってきた。2年前に「トラックGメン」を発足し、調査結果を是正指導に活用。プッシュ型の情報収集で、Gメン発足前の23年6月末で累計84件だった「働きかけ」は、24年6月末で635件、直近の6月末で1668件となっている。
昨年11月には、「トラック・物流Gメン」に改組し、倉庫業者からの情報収集とともに、都道府県トラック協会が新設した「Gメン調査員」とともに総勢360人体制へ拡充している。
情報収集体制の強化と同時に、サプライチェーンに係る関係者からの一層の理解、協力を得ることが肝要だ。指導指針の公表は、改正物流法施行や下請法改正など様ざまな措置が動く中で時宜を得たものだ。
情報提供側は匿名性とともにその実効性を追求したいところ。今回の指針案には「トラック・物流Gメン、Gメン調査員に対する情報の提供方法や取扱い、情報提供者への処理結果の通知制度」を規定することが盛り込まれている。
Gメン活動の成果をどうとらえるか。直近の4―6月の是正指導件数をみると、「働きかけ」は1―3月より増加傾向で、長時間の荷待ちをはじめ違反原因行為が後を絶たない。運輸局別では開きがあり、4―6月では中部が最多、次いで九州。関東や近畿は減少し、北海道、東北、四国、沖縄は0件。減少傾向は抑止効果ともとらえられるが、一概に件数だけでは判断できない。
国交省では集中監視月間に併せ、違反原因行為の実態調査を行っており、このあたりの結果が参考になるだろう。
国交省が設置する通報窓口(目安箱)には毎月400-500件程度の情報が寄せられる。荷待ちで何時間かかったなど、より詳細な内容が増えているという。Gメン調査員や、厚生労働省、公正取引委員会、荷主所管の関係省庁との連携により情報源の裾野も広がる。目指すところは取引適正化であり、より具体的な情報提供に努めたい。