JR貨物の経営戦略に期待

日本貨物鉄道(JR貨物)が元気だ。貨物輸送をトラックから鉄道に転換する「モーダルシフト」が急速に進んでおり、その流れは本格化しそうである。

地球温暖化対策の新しい国際ルール「パリ協定」が発効し、CO2排出量削減の取り組み強化が求められている。また、国内貨物輸送の90%をトラック輸送に依存する産業構造のなかで、トラックドライバー不足が深刻化し、日本の物流全体が混乱する可能性がある。

モーダルシフトは、数年前まで停滞していた。国土交通省が2011年10月にまとめたアンケート調査では、荷主企業がトラック輸送から鉄道輸送にシフトする可能性のある貨物量はわずか0.23%にとどまっていた。

当時、多くの荷主は「鉄道で運んでほしい荷物がない」と考え、「小口輸送に適していない」「急な出荷量の増減に対応できない」「トラックに比べ輸送コストが高い」ことなどをその理由としてあげていた。

さらに、事故や災害時に鉄道が不通となる「輸送障害」に対する懸念も大きく、これらが鉄道へのモーダルシフトを阻む要因となっていた。

国土交通省は、モーダルシフトを推進していくための制度を整えるため、物流総合効率化法を改正した。

ドライバー不足が深刻化するなか、今や鉄道へのシフトは、多くの分野で検討されている。ビール業界では、ライバル企業のアサヒビールとキリンビールが共同で、関西~北陸間の往復輸送力の差により発生する空コンテナを活用し、ビールを鉄道で運んでいる。かつて、モーダルシフトは長距離向けとして推進していたが、JR貨物によると、速達性が求められる冷凍・冷蔵輸送でも、鉄道のトライアル輸送が相次いでおり、海上コンテナ輸送でも、片道は国内貨物を積むことで空コン回送をなくした鉄道輸送が実現している。

2016年上期(4-9月)の輸送実績は、4月の熊本地震や8~9月の台風など自然災害に見舞われ、北海道の線路が寸断されたにもかかわらず、輸送量はほぼ横ばいの前年同期比1.1%減と健闘した。

ドライバー不足を背景にモーダルシフトが続いている食料工業品や積合わせ貨物は好調だ。同社は、モーダルシフトの流れは着実で、その成果は中間決算にも反映され、通期での鉄道事業黒字化をめざすという。

JR貨物は、業務創造推進プロジェクトを立ち上げ、「10年先を展望し、5年後のあるべき姿を作る」――次期中長期経営計画を策定中で、株式上場も視野に入れた今後の経営戦略に期待がかかる。