飲酒事故は抜本的対策を

次期「事業用自動車総合安全プラン」策定に向けた議論が本格化した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「新しい生活様式の変化」や自動運転の具現化など大きな環境変化が起きており、これらも踏まえた安全対策の見直しが急務である。
総合安全プランはこれまで2009年3月策定の「プラン2009」(フォローアップ期間10-17年3月)、17年6月策定の「プラン2020」(18-21年3月予定)を実施。現行の「2020」が今年度最終年となり、次期プランは第11次交通安全基本計画の期間と連動し、21~25年度年度の5カ年とする計画だ。
6日に行われた「事業用自動車に係る総合安全対策検討委員会」では最近の事故状況や各モードの対策などを報告した上で、事務局が次期プラン策定へ論点を整理し重点施策案を示した。
重点施策案には「新しい生活様式に対応した安全・安心な輸送サービスと働き方改革の実現」や「自動運転、ICT技術等新技術の開発・利用・普及の推進」ほか、現行プランの継続項目の内容見直しに新規項目も追加し、この間の環境変化の要点を盛り込んでいる。
目標設定においては既存の3指標を踏襲するか、新指標を加えるか、これからの議論となるが、実状に合わせた個別設定の必要性もしっかりとした議論が必要だ。現行プラン策定時の議論ともなったが、現実をベースに手が届く目標も視野に入れながら、国民から納得が得られる内容としたい。
事業用自動車の交通事故死者数、事故件数は、着実に減少しているものの、現在の減少率では現行プランの目標達成は困難だ。とりわけトラックは飲酒運転による事故件数が近年の横ばい傾向から昨年は上昇しており憂慮すべき状況にある。
社会環境変化への対応とともに、あらためて飲酒運転や健康起因事故など、安全管理が不十分であることで発生する重大事故を総点検する必要がある。
健康起因については現行プランにおける脳疾患、心疾患対策ガイドラインの策定や、スクリーニング検査普及に向けた各施策が講じられており、事業者の意識高揚へ一層の周知活動が望まれる。
一方の飲酒運転事故については国交省が5月に業界に対し事故防止の再要請を通達した。飲酒運転根絶へ業界一丸で取り組む姿勢であるもの事故は後を絶たない。
これらは次期プラン重点施策案に「抜本的対策による飲酒運転、迷惑運転等悪質な法令違反の根絶」とあるように、より踏み込んだ対策が必要だ。