陸運大手3社の上方修正

日本通運、ヤマトホールディングスとSGホールディングスの陸運大手3社が、揃って2018年3月期業績を上方修正した。

修正後の3社合計2018年3月期売上高予想は、前期比6・8%増の4兆5500億円、金額ベースでは2886億円の増収となる。修正前の売上高予想は4・2%増の4兆4420億円だったが、9月からの3カ月で1080億円も増額した。

利益面でも3社合計の営業利益が従来予想の1520億円から6・6%増の1620億円(前期1416億円)と利益幅が拡大している。3社合計の売上高営業利益率は前期の3・3%から3・6%に改善する。

要因として、企業間物流の荷動き活発化を背景にトラック運賃の上昇圧力が高まったことが指摘される。第3四半期(17年10‐12月期)業績が上振れ、上場企業で4‐12月期の好業績企業が目立っている。3社をはじめ労働条件の改善に向け、採算重視の適正運賃・料金の収受などを進めてきた結果ともいえるだろう。

日通の通期売上高1兆9800億円は3年ぶりに過去最高を更新し、2兆円の大台に迫る。営業益は過去最高だった1992年3月期606億円を大きく上回る700億円、経常益は4年連続での過去最高を更新する730億円を見込んでいる。

ヤマトHDは、宅急便の大口顧客への総量抑制や適正運賃収受に取り組み、10‐12月期から効果が出てきた。宅急便の取扱個数は10‐12月期だけをみると、前年同期比4・5%減となったが、単価は11・6%上昇した。今期の取扱計画は前期比1・4%減、個数ベースでは2156万個を減らし、単価は前年比6・4%(36円)増の595円の見込んだ。

SGHも、宅配便事業での適正運賃収受への取り組みで、通期の平均単価は前期比7%増の547円となり、取扱個数は4%増の13・3億個を見込んでいる。通期売上高は従来予想を400億円上回る1兆400億円、営業利益は30億円増の610億円に上方修正した。

各社とも、高付加価値サービスの提供、適正運賃収受の取り組みによって売上げが増加し、利益も改善・拡大させていることがうかがえる。

18年1‐3月期は燃料高騰、人件費・外注費の増加が続くなど不透明感が拭えず、横ばい傾向も見込まれる。しかし、長時間労働を解消するための働き方改革、適正運賃・料金の収受は、もはや避けて通れない課題となっている。

配送品質の維持向上、働き方改革への対応には、公正な取引環境の確立と継続的な適正運賃収受への取り組みが不可欠といえる。