長時間是正へ積極的取組を

政府の「物流革新に向けた政策パッケージ」には自主行動計画の策定や規制的措置の導入など法制化も含め各業界で取り組むべき事項が多い。これに基づき国は「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を提示しているが、各業界がどう受け止め、動いているか。24年問題が間近に迫る中で対応が注視される
日本ロジスティクスシステム協会は24年問題と、その対応に向けた政策パッケージ、ガイドラインに関して、課題やニーズを洗い出し、優先的に支援すべき項目を把握するため物流事業者・荷主事業者に実態調査を行った。
公表した調査結果からは政策パッケージ、ガイドラインに対する認知度は高いが、各項目の理解度や対応状況は業界で開きも見られるようだ。
製造業の把握・理解度が高いことや、荷待ち・荷役時間の削減ではその問題意識が製造業・物流業に対し流通業(卸売業・商社、小売業)では低い。
荷待ち・荷役時間の削減は政策パッケージにおいて最も関心が高い項目。ガイドラインには荷主に対し、荷待ち・荷役作業を2時間以内、既に2時間以内であれば目標1時間以内などルールを示しており、法制化に向けた対応へ意識は高い。
しかし業界によっては製造業の51%が荷待ち・荷役時間の削減を「大きな問題」とするが、流通業のその割合は27・5%に留まる。
24年問題そのものに関しては内容を含め、認知度はかなり高い。一方で24 年問題で予想される事業への影響は物流領域の範囲に留まる回答が多く、売上や利益など全社的なKPIへの言及は少ない。とくに流通業は他業種と比較して自社の影響まで把握している割合が他の業界より低い。
国交省のトラックGメンの発足で荷主に対する働きかけ件数が飛躍的に伸びているが、違反原因行為では「長時間の荷待ち」が半数を占め最も多く事案が後を絶たない。
荷役・荷待ちは対価として標準的な数値を示すことが国の検討会で議論され、提言案では荷役は積込料、取卸料を設定し現行の荷待ち時間と同じく30分単位で発生する金額を示すという。2時間超の場合は割増も設定する考えだ。
24年問題により荷主事業者が自社の業績にどこまで影響するかしっかり認識する必要がある。本質的には長時間労働の是正であり積極的な取り組みを促したい。