重要性増す働き方改革

人手不足が一段と深刻化してきた。7月の有効求人倍率(季節調整値)は1・52倍と、1974年2月(1・53倍)以来、43年5カ月ぶりの高水準となった。

労働市場がひっ迫しているなか、アベノミクスの成長戦略を進めるうえで人手不足の深刻化が成長を抑制する懸念も高まっている。

帝国データバンクが実施した人手不足に対する企業の動向調査(7月18~31日)によると、正社員の不足感を抱いている企業は45・4%となり、1年前(16年7月)から7・5ポイント増加し、最高を更新した。

運輸・倉庫業界で正社員が「不足している」と回答した企業は60・9%に達した。1年前の48・1%から12・8ポイント増加し、人手不足感は全産業に比べても高い。

規模別の不足割合をみると、大企業は70・7%(全産業51・8%)と7割を超え、中小企業が58・0%(43・7%)と6割近くに迫り、小規模企業も44・1%(38・8%)だ。規模の大きい企業ほど正社員に対する不足感が高く、その傾向は強まっている。

政府は8月28日、トラック、バス、タクシーなど自動車運送業の働き方改革を推進するための関係省庁連絡会議を総理官邸で開催した。改正労働基準法施行の5年後に罰則付きの時間外労働規制が導入されるまでの猶予期間に、必要な制度の見直しや支援措置など、各省庁が直ちに取り組む63施策を取りまとめた。

会議であいさつした議長の野上浩太郎内閣官房副長官は「長時間労働是正のための環境整備は喫緊の課題であり、関係省庁による全政府的なバックアップが必要だ」と、政府あげての取り組みが必要である点を強調した。

長時間労働などを背景にドライバー不足が深刻化することに伴い、トラック運送業界からは「就業者を確保するためにも労働条件の改善、生産性の向上が重要課題であり、そのためには、荷主・元請の協力により、取引環境の改善が必要だ」という声が強い。

政府は、働き方改革の実現に向け、9月頃に事業者団体へアクションプランの策定を要請するほか、職場環境の良好な「ホワイト経営」に取り組む企業が求職者に「見える」仕組みや優遇策も検討する。

その一方で、過労防止違反に対する行政処分を来年度から強化する方針を打ち出している。

企業にとって、人手不足の長期化は人件費上昇などのコストアップとなり、今後の景気回復の足かせにもなりかねない。働き方改革はその重要性を増している。