重要インフラの発信力を強く

全日本トラック協会の坂本克己会長は2日に千葉市で開かれた全国トラック運送事業者大会のあいさつで、改正事業法の施行、改善基準告示の見直し、重要物流道路の指定などにふれ、あらためて会員事業者から情報、意見をあげるよう求めた。当面課題の対応、そして次代へさらなる進化を遂げるには何より業界の強い団結力が必要だ。
改正事業法は昨年12月に一気に議員立法により成立に漕ぎ着けた。坂本会長のリーダーシップと「全国各地域で皆さんが信頼関係を築いてきたこと」と話すように、まさに業界の団結力が示した結果でもある。こうした流れを踏まえ、円滑な実施に向けて関係省庁と連携した取り組みが求められる。
今般の改正事業法はまさしくトラック運送業界の働き方改革を実現させるものである。全国大会で来賓あいさつした国交省の一見勝之自動車局長は「適正な運用を通じ働き方改革の実現、業界の発展へしっかり取り組む」ことを表明した。
7月に就任した一見局長は、全国大会は貨物課長時代である2008年の盛岡、翌年の松山以来の参加。「当時は燃料高騰とリーマンショックの景気低迷が大きな課題だったが、現在はドライバー不足が深刻化しており、働き方改革で運送業の魅力を高めることが喫緊の課題」とし、これには荷主との取引環境の適正化、生産性向上が重要との認識を示す。
「ホワイト物流」推進運動とともに、荷主関係の経産省、農水省、国税庁と連携して今月から全国で荷主、運送事業者へのセミナーを開催するなど国は支援体制を強めている。
改善基準や重要物流道路の指定についても、各地域でさまざまな課題、実情がある。これを反映させながら働き方改革を実現させることで、次代にふさわしい進化の道筋が見えてくるだろう。
全国大会の開催地である千葉県は台風15号で甚大な被害に見舞われたが、大会は関係者の強い結束により無事運営することができた。
一方、被災地には千葉県トラック協会がブルーシート7万枚、ミネラルウォーター16万本など緊急物資輸送に尽力した。
自然災害が多発する中で、トラック運送事業者は救援物資支援の担い手として重要な指命を果たすとともに、平時も国民の暮らしと経済を支える。坂本会長が常々訴える「現場のドライバーが自らの仕事に誇りと自信、魅力を持つ」には、こうした重要インフラの存在を業界の一体感で強く発信することが望まれる。