選ばれる業界へ継続的改善を

「運転者職場環境良好度認証制度」の認証団体である日本海事協会が、制度に関わる情報を紹介するウェブサイトを開設した。トラック運送業も、求職者から〝選ばれる業界〟となるよう制度の運用に期待したい。
同制度の創設に向けては、国土交通省が自動車運送事業のホワイト経営の「見える化」検討会において議論を進めてきた。人手不足が深刻化する中で、ドライバーの労働条件と環境の改善とともに、必要となる人材の確保・育成へ、働き方改革に取り組む事業者を認証するものだ。
厚生労働省によると、11月のトラックドライバーを含む自動車運転者の有効求人倍率(常用/パート含む)は3・28倍となり、前年同月比0・16ポイント、前月比0・13ポイントの上昇。新規求人倍率も4・26倍と拡大し深刻さを増す。
また、東京商工リサーチの調査では、2019年の道路貨物運送業の倒産件数が2年連続増加(196件)となる中で、人手不足関連倒産が前年比5割増の31件と調査開始から最多を記録した。人手不足問題は、ものが運べなくなる物流危機に直面している。
こうした中で新たな認証制度は、事業者の働き方改革などの取り組みを「見える化」し、求職者が安心して就職できるよう促すもの。事業者が制度活用を通して、より主体的に働き方改革を進めることで業界全体のイメージアップにもつなげたいところだ。
募集開始時期は未定だが、サイトを開設したことで当初の年度内計画に向け準備が進められているようだ。
認証に係る費用については、電子審査で一つ星の場合に限り公表しており、審査料3万円、登録料6万円の計9万円となり、複数営業所の取得では1営業所あたり審査料3000円、登録料5000円がそれぞれ加算される。
求職者に対して、中立的・客観的評価で示すことによる採用活動の利点ともに、荷主など取引先に対しても、信頼の向上につながるような制度としたい。認証マークの掲示などインセンティブ措置も検討されるが、広くより効果的に制度の認知・浸透を図る必要がある。
多くの認証項目が設定されるが、国の検討会報告書では、ドライバーの労働条件、労働環境の向上の状況などを踏まえ、数年後に認証基準の引き上げも検討するとしている。基準を満たすため事業者が労働環境改善に向け、継続的に取り組む好循環となるような制度構築が望まれる。