適正運賃収受の動き広がる

2017年10―12月期のトラック運送業界の景況感が、2014年4月調査以来、ほぼ4年ぶりにプラス圏に回復した。消費増税前の駆け込み需要以来のことだ。

燃料価格の上昇や労働力不足によるコストアップで、経常損益はやや悪化したものの、「一般貨物」では、輸送数量及び運賃・料金の水準は堅調に推移し、「宅配貨物」では、運賃・料金の水準が回復基調で推移した。その結果、景況感の判断指標は2・2となり、前期より14・9ポイントも改善した。

「一般貨物」は、輸送数量が前期比12・6ポイント改善して判断指標は12・0へ、売上高も11・2ポイント改善して判断指標は13・2となった。ただ、営業利益の判断指標は0・8ポイント改善のマイナス11・5にとどまった。

運賃・料金水準は、「一般貨物」が5・4ポイント改善してプラス12・8となり、「宅配貨物」は14・9ポイント改善の同82・8と大幅に改善した。

いわゆる「宅配危機」が社会問題となり、ヤマト運輸を擁するヤマトホールディングスと、佐川急便を擁するSGホールディングスが運賃改定を実施。その結果、それぞれ単価が上昇し、今期(2018年3月期)業績を上方修正した。ヤマトの宅急便取扱個数は、前年度比減少見込みだ。

やはり運賃改定を実施した日本通運も好決算で、好調な世界経済に支えられ通期業績を上方修正した。売上高は過去最高を更新し、2兆円に迫る勢いだが、このうち、適正運賃・料金収受の効果として、通期で約45億円を見込んでいる。

その運賃改定効果が、企業間物流にも及んできた。

セイノーホールディングスの4‐12月期連結決算は、売上高が前年同期比5・7%増の4470億円、営業利益が8・9%増の255億円と増収増益。中核会社である西濃運輸が、適正運賃・諸料金・燃料サーチャージ収受の積極的な交渉を継続しているもので、物量は同1・8%増、単価は2・4%増となり、増収増益決算を支えた。

福山通運は、昨年11月に続き2回目の上方修正だ。輸送量の増加、運賃・料金改定の効果や国際事業の拡大などが見込めることから修正したもので、売上高は、前回修正より48億円増の2664億円(前期2556億円)、営業利益は20億円増の132億円(110億円)と拡大を見込んだ。

宅配便から始まった適正運賃収受の動きは、物流業界全体へと着実に広がりつつある。