課題解決、その先の展望を

コロナ規制の緩和により経済活動は着実に正常化に向かいつつある。「5類」への移行で人流が回復し物量もプラスに働くものと期待される。
一方でコスト高が収益を圧迫する状況は続き、売り上げ拡大が見込めても利益確保は依然として厳しい環境にある。
帝国データバンク(TDB)は3月度の景気調査と併せて企業の業績見通し調査を行っているが、2023年度は全体で増収基調も利益は増益と減益の二極化傾向という。下振れ材料は「原油・素材価格の動向」が最も多いが、前年調査との比較では「人手不足」、「インフレ進行」をあげるところが急増している。
それでもサービス業や運輸・倉庫業などコロナ禍の規制で影響を受けていた業界はプラス材料が働き、全体より「増収増益」の割合は高く、「減収減益」の割合は低い。
運輸・倉庫業は全体の41%が増収予想で減収20%の2倍。増益34%も減益26%を上回る。原油・素材価格の動向が不透明だが、物量の増加傾向をとらえ回復基調に乗せたい。
TDBの同調査では「個人消費の回復」や「感染症の収束」が上振れ材料の上位のほか、「DX化の加速」などもあげられる。コロナ禍の新しい生活様式は企業戦略にも影響を及ぼし、アフターコロナでこれら商機がどう広がるか。運輸・倉庫業もDX、さらにはGXなどニーズも踏まえ、収益性の高い付加価値提案型による売り上げ拡大を見据えたい。
国土交通省が毎月公表するコロナの影響調査によると、トラック運送業は3月の運送収入がコロナ前の2019年3月より2割以上減少した事業者は13%、1割以上減少した事業者は18%ある。特定品目の落ち込みが目につくが、全体で1割以上減少の割合は同調査を開始した20年2月以降最も低く影響は緩和されているといえる。
アフターコロナの対応とともにトラックは24年問題に直面する。多くを占める小規模事業者は足元の課題解決に追われるが、先を見据えた成長性もしっかりとらえたい。
運輸労連は14日に都内で中央本部主催の全国単組による初の労使懇談会を開いた。立教大学の首藤若菜教授が「2024年問題の先を見据えて」をテーマに講演し、労使間で課題を共有、意見交換により理解を深めた。
24年問題はサプライチェーン全体で解決すべきことだが、持続可能な物流へ、その先についても業種・業界間を乗り越え成長の可能性を探りたい。