荷動き改善が鮮明に
荷動き改善が鮮明になってきた。日通総合研究所が6月に実施した企業物流短期動向調査(日通総研短観)結果によると、7―9月の国内向け出荷量「荷動き指数」はプラス8となる見通しだ。「荷動き指数」がプラスを示すのは14年1―3月以来14期ぶりになる。
短観は荷主企業2500社(製造業、卸売業15業種)を対象に出荷動向や見通しを調査したもので、980社からの回答を得た。
「荷動き指数」は2014年4―6月実績でマイナス3と水面下に沈み、以降はマイナスが続いている。16年7―9月実績以降は水面下ながら緩やかな改善が続き、17年7―9月見通しではようやく水面下から浮上する、と予測した。
運賃・料金の動向指数では一般トラック、特積みトラック、鉄道コンテナ、内航コンテナ・RORO船、国内航空、倉庫保管料の6機関すべてが、4―6月の実績に続き、7―9月もプラスを維持する見通しだ。なかでもトラック運賃は、上昇圧力が一段と強まると予想している。
トラック運賃の上昇傾向について業界関係者は「燃料価格が前年に比べ上昇に転じていることに加え、ヤマト運輸、日本通運、佐川急便など大手事業者の運賃値上げ報道などでドライバー不足の深刻さが社会的にも広まったことなどが後押ししている」と解説する。
一方、物流企業のトップ、日本通運は円高による為替の影響を受けたものの、17年3月期の上期と通期の売上高を上方修正した。荷動きの改善を見込み、上期は当初予想より160億円上回る9610億円、通期も100億円増の1兆9400億円を見込んでいる。
4―6月期の売上高は、前年同期実績を254億円も上回る、5・4%増の4749億円で着地した。営業利益は増収効果などで、44億円増の152億円となり、売上高営業利益率は3・2%(前年同期2・4%)と3%台を突破した。
荷動き改善の兆しが見えてきた物流業界だが、深刻な人手不足、ドライバー不足の改善に向けた「働き方改革」はスタートしたばかりだ。
ヤマト運輸を傘下に抱えるヤマトホールディングスの4―6月期連結決算は、営業利益が100億円の赤字になった。現在、大口顧客へ繁忙期の出荷調整や再配達削減などの要請、運賃の見直し交渉を進めており、第1四半期は「働き方改革の道半ば」というところであろう。
他産業並みの「働き方改革」を実現するには、トータルコストを反映した運賃設定の仕組みと継続的な運賃の見直しが必要ではないか。