荷動きの回復基調続く

日通総合研究所が荷主企業約1000社の物流担当者からの回答を取りまとめた物流短観によると、国内向け出荷量の荷動き指数は、9月調査時点の10‐12月見通しがプラス5となり、7-9月実績のプラス2から3ポイント上昇する見込みだ。

荷動き指数は、4-6月実績がマイナス1で、6月調査時点の7‐9月見通しでは9ポイント上昇しプラス8を予想していたが、7‐9月実績は3ポイント上昇のプラス2にとどまり、下振れとなった。

下振れ要因としては、8月の長雨で食料品・飲料、繊維・衣服など消費財関連の出荷が落ち込んだことなどが考えられる。しかし、7‐9月の荷動き指数実績は水面下から浮上し、プラスを示した。指数がプラスに転じたのは、消費税増税前の駆け込み需要によりプラス32となった2014年1‐3月以来で、3年半ぶりのことになる。

日通総研では、年度後半に向け「荷動きの回復基調は続く」と分析している。荷動き指数の10‐12月見通しは、プラスの業種が7‐9月実績の6業種から12業種へと倍増する見込みだ。金属製品や輸送用機械はマイナスからプラスに改善し、パルプ・紙、窯業・土石はゼロ水準からプラスへ浮上するとみている。

一方、大手物流企業の4-9月期業績をみると、基調としては当初計画を上回る傾向で、通期業績を上方修正する動きが目立っている。

日本通運の4―9月期決算は、国際物流で航空を中心とした需要もあって、売上・利益とも過去最高となった。売上高はほぼ計画通りだったが、利益は計画を上回った。通期見込みは売上高を変更しないが、利益は上方修正し、それぞれの過去最高をさらに上積みする。

ヤマトホールディングスは、通期営業利益、経常利益ともに250億円、純利益120億円を据え置いた。下期(10―3月期)に荷物の総量減少や値上げによる効果を見込んでおり、売上高は上方修正した。

SGホールディングスの4-9月は、主力のデリバリー事業の適正運賃収受が進展し、増収増益を確保した。宅配便取扱個数は2%増と堅調で、単価は3・3%アップした。通期業績は売上高1兆円、営業利益580億円の従来計画を据え置いた。

日立物流の4-9月は、次世代・先端技術や働き方などの先行投資、コスト増があったが、計画通りに推移した。通期に向けては利益を確保できない取引から撤退する方針だ。

日本の内需回復には不安材料もあるものの、国内の荷動き指数が早期に水面上に浮上してきたこともあり、利益確保に期待したい。