継続性ある取り組みを

荷待ち時間の長い輸送品目ごとに改善策の検討を進めている懇談会で、進捗状況と取りまとめの骨子案が示された。年度末にもガイドラインを公表するが、効果的な周知方策と、継続して課題解決に取り組める環境づくりが望まれる。
国土交通省は昨年から荷待ち時間発生件数の多い輸送品目別に議論の場を設け、加工食品、紙・パルプ(洋紙・板紙、家庭紙)、建設資材の3品目で実施。品目特性に沿って留意事項や事例などをまとめた指針を作成する。
昨年、トラック事業者と荷主が連携した、長時間労働の抑制を図るためのパイロット事業の成果を取りまとめたガイドラインを公表しており、その品目別の特別版として位置づける方向だ。
紙・パルプの中間報告からは、これまでの実証実験、実態調査やヒアリングから解決の糸口が見えてきたものや、一方で新たな課題が浮き彫りになってきたこともある。
洋紙・板紙のリードタイム実態調査では、物流効率化の視点でリードタイムを決めることは相対的に少ないものの、緩和への取り組みを実施している荷主も8割と意識は高い。ただ同一品目でも業種や取扱い製品など属性で傾向が異なり、属性に沿った分析も必要としている。
そもそも川下である流通において、雑誌発売日を分散化するなどの検証も必要だ。現実的には発売日のしばりが緩やかな書籍も含めた検討となるが、出版業界とも意見交換を継続的に行うとしている。
家庭紙では少量多頻度納品の効率化へ、トイレットペーパー長尺(コンパクト)製品の消費者モニター調査と、小売り事業者への調査を行った。トイレットペーパー全体で長尺製品は2割の市場規模とされる。需要喚起にはさらに消費者への啓発活動が必要とした。物流効率化の側面でサプライチェーンが連携した働き掛けをして欲しい。
食品流通では納品期限の商慣習を見直す運動が省庁連携で進められ、社会的問題である食品ロス削除の観点から、売り場の訴求も含めた取り組みが動き始めている。
消費ニーズの変化で売り場も変わり供給体制にも影響する。消費起点で小売り、消費者を巻き込んだ施策が有効だ。
国交省はこの品目別懇談会で来年度以降、他の荷待ち時間の多い品目(生鮮食品、飲料・酒、金属部品・金属加工品など)も設置を検討している。さまざまな品目で事例や課題解決策を共有しながら、サプライチェーン全体で継続的に物流改善に取り組む流れをつくりたい。