経営統合に向け順調に進む

佐川急便の持株会社である、SGホールディングスが、東京証券取引所第1部に株式を上場した。

およそ25年前の東京佐川急便事件を経て、6社合併、借入金返済など幾多の困難を乗り越えての株式上場であり、感慨深いものがある。

初値は1900円で、終値ベースの時価総額は約6100億円だ。町田社長は「順調に第1歩を踏み出すことができた」と感想を述べた。

物流業界では、ネット通販の急成長で宅配個数が増加しており、それに伴い再配達問題も顕在化している。業界内部ではドライバー不足や協力会社争奪など車両確保に向けた競争が起きており、社会的な要請としては、長時間労働の是正なども求められている。

こうしたなか同社は、2016年に定めた中期経営計画で、将来の姿を「アジアを代表する総合物流企業グループ」とし、グループ横断的な営業チームである「GOAL」を基軸としてグローバル物流ネットワーク確立をめざしている。

今年5月には計画を一部修正し、「労働環境の改善、人員強化、さらには駐車対策などにスピード感をもって取り組む」姿勢を強調した。そのため、適正運賃収受を継続するとともに、商品別・サイズ別等の運賃も見直す。

同社は決算日を3月20日から3月31日に変更する。今年度はその10日分が加わるため、売上高で430億円、営業利益で12億円が加算される見通しだ。今年度の業績は、売上高(営業収益)1兆円、営業利益580億円、経常利益600億円、当期純利益330億円を見込んでいる。

一方、町田社長は上場時の会見で「現金で商売しているので特段大きな資金需要はない」と言いきっており、「社会のインフラを支える公器として認められる存在となり、より優秀な人材が集まる企業になりたい」と、株式上場の狙いが「社会的信頼の獲得」にあることを明らかにしている。

同社が上場時に発表した決算見通しでは、営業外損益として、日立物流との資本業務提携による持分法による投資利益を計上しており、日立物流が公表した業績予想数値を参考に、前期比16・1%の増加を見込んだ。

両社は昨年3月、3年後の経営統合を視野に入れた資本業務提携を結んでおり、それからすでに1年8ヵ月の期間が過ぎている。町田社長は「3年かけてシナジーを確認し、次のステップに行きたい」と手応えを強調しており、統合に向けて様々なことが順調に進んでいることを印象づけた。