現場力高め反転攻勢へ

物流大手経営トップの年頭あいさつからは、厳しい環境下におかれなからも新たな価値創出へ期待の声が多く聞かれる。
齋藤充NXホールディングス社長は「挑戦の積み上げがお客さまの評価を高め、グローバル市場での存在感を増す」と挑戦、行動を呼び掛ける。そして「グループの繋がりを強化しよう」とグループ全体の高いレベルでの連携を求める。
鳥居伸年近鉄エクスプレス社長は「〝Оne KWE〟として一体感を高めグループとして機能させる」。同社は近鉄グループHDの子会社となったが、方針は変わらず、その強みを活かしながらさらなる高みを目指す方向を示す。
センコーグループホールディングスの福田泰久社長は「国内は少子化による物流、商流の長期的な減少が避けられないが、インバウンドやEC、健康への関心の高まりなどビジネスチャンスの芽はたくさん溢れている」とし「ワクワクできるような変化と取り組みの機会を自ら見つける」ことを促す。
〝飛躍の年〟とされる卯年。小寺康久西濃運輸社長は「持っている可能性を大きく伸ばし発展してくためにスローガンを〝伸展〟とした。これまでの努力が実を結び、勢いよく成長し飛躍を」と期待を込める。
鎌田正彦SBSグループ代表は「〝跳〟(飛び跳ねる)がキーワード。どのような時代がこようと社会に適応し、変化に対応し、進化し続ける」とさらなる事業拡大に意欲を示す。
物流業界は足元のコスト圧力と、2024年問題や取引適正化も待ったなしの状況だが、各社トップの発言にあるように現場の積極姿勢により新たな商機をつかみ、事業を創出する好循環が期待されるところだ。
企業の業績面では物流大手各社は燃料などコスト増の影響を受けるものの売り上げが堅調に推移し今年度は総じて増収増益基調にある。
トラック運送業界の多くを占める中小、小規模事業者の経営は全般に物量は回復も売上、事業拡大には厳しい環境が続く。
それでも帝国データダンク発表の12月の景気指数を見ると、前月に対し運輸・倉庫業界は横ばい、うちトラックは年末需要もあり微増で小幅ながらも6カ月連続で前月水準を上回る。また、12月分のWebKIT成約運賃指数では3年ぶりに130台に乗せている。
緩やかながらも景況は上向きととらえられる。現場の活力を高め反転攻勢の年としたい。