物流への理解深める契機に

国土交通省、経済産業省は4月を「再配達削減PR月間」として、宅配便やEC事業者などと連携し、再配達削減への取り組みを強く推進する。2024年問題が残り1年と迫る中で、消費者を巻き込んだムーブメントとなれば物流には大きな追い風となる。
斉藤鉄夫国交相が14日の閣議後の定例会見冒頭でこの件に触れ、「生活者も荷物を送る立場、受け取る立場としてできることがある」とし、自らパネルを用いながら「宅配ボックスや置き配の活用、街中にある宅配ロッカー、コンビニでの受け取り、配送状況の通知アプリの活用を」と説明、強く訴えかけた。
「総合物流施策大綱」には宅配便の再配達率を2025年度で7・5%程度への改善目標を設定、国交省はこれに取り組むが、24年4月からトラックドライバーへの労働時間上限規制の適用で、物流への負荷が高まるものと懸念される。
国交省調査による昨年10月の宅配便再配達率は約11・8%。コロナ禍の巣ごもりで感染拡大当初の20年4月は8・5%まで下がったが、この2年はほぼ横ばい状態だ。一方でEC市場は21年の物販系分野が13・3兆円規模で、宅配便の取扱個数はこの5年間で約9・3億個(23・2%増)と拡大基調が続いている。
PR月間では、両省連携でSNSによる広報や政府広報テレビ番組の紹介に、参加事業者の取り組みの一覧を国交省HPで分かりやすく掲載、事業者も自社のHPやSNSを通じた国民への再配達削減を呼びかける。多くの事業者が参画することでPR月間を通じて、再配達の削減に向けた機運を高め、物流の生産性向上がさらに進む流れとしたい。
国がここまで力を入れるのは、やはり2024年問題まで残り1年に迫りまさしく今が正念場であることだ。斉藤国交相は「再配達の削減には国民の理解と協力が大変重要、それが日本の今の困難を乗り越える大きな力になる」と呼びかける。
省庁連携による「持続可能な物流の実現に向けた検討会」において、国民への広報強化施策の一環としてこの再配達削減PR月間案が示された。同検討会で議論している、足元の実効性ある措置であり、「国交省が先頭に立ち国民に理解をいただき、お願いをしていく」(斉藤国交相)姿勢だ。
2024年問題に各方面から注目が集まる。あらゆる手段を講じてトラック運送業界の現状を世間に広く発信し、世の理解が深まる契機としたい。