物流の新たな価値提供へ

ドローンのレベル4飛行(有人地帯補助者なし目視外飛行)が昨年12月に解禁され、物流現場の関心度も高まっている。日本郵便が国土交通省から必要な飛行の許可・承認を取得し、24日に東京の奥多摩郵便局配達区内で初のレベル4飛行を行った。実用化への動きが着々と進む。
レベル4の制度施行を踏まえ、国交省はドローン配送の現行ガイドラインの改定を年度内にも行う予定だ。レベル4を見据えた国交省の実証実験からは、課題抽出の一方、運航安定化による地域活性化への貢献も伺える。
実証実験のうち群馬県安中市のケースは3拠点を結ぶ巡回配送。地元野菜、弁当、処方薬の配送で、空荷対策とともに物流と遠隔診断・小売店の組み合わせによる利便性を確認した。地元食材、地産地消の関心は高く、新たな需要・消費喚起も見据える。
レベル4による補助員の削減で運営コストの圧縮も見込まれる。実装にはやはり定期配送など運航安定化がカギで、これにより収益の確保と域内の経済活性化、雇用創出にもつながる。
一方で課題も多い。実証実験からは自治体や運航者以外のステークホルダーの調整や、個々住民との合意形成活動には時間を要すること、さらに安全性向上と運営人員や事業提携などオペレーション改善も指摘される。
民間による実証実験も各地で行われ、レベル3で実装段階に入っているケースもある。地域との関係や事業収益性など事例を共有し課題解決に取り組みたい。また、活性化の側面からは何より地元のニーズをしっかり把握すること。地域との共生を基本に、そこには地域に根差す物流事業者の役割も大きい。
ドローン物流は離島や山間部など日用品や医薬品などの物流網の維持や災害時の物資輸送など、地域における社会問題の解決手段として期待される。まずこの価値提供をしっかり発信したい。物流業界も共同配送、貨客混載など連携も含め一層の効率化を促すものだ。
国交省は23年度の実証計画で、ドローンの離発着前後の配送を担う自動配送ロボットなど新たなモビリティと連携した事業を行う。10件程度採択する予定で、ラストワンマイル配送の先導的な事業を検討する。
さらにデジタル技術の活用により、ドローン物流の新しいソリューション、サービスを生み出す可能性が広がる。これら成果の横展開により将来像への期待も膨らむ。