物流の労働生産性を世間並みに

国土交通、経済産業両省は、総合物流施策大綱(2017年度~2020年度)に基づく、総合物流施策推進プログラムを決定した。

昨年7月に閣議決定された大綱を踏まえ、計画期間内に政府が取り組む具体的な物流施策を網羅したものだ。

各施策ごとに数値目標を定め、その達成に向けて各年度に実施すべき取り組みをまとめた工程表に基づき、関係9省庁が連携して99の施策を強力に推進するものだ。

プログラムは必要に応じて見直し、PDCAサイクルにより進捗管理を適切に行う。

新しい物流大綱は、我が国の経済成長と国民生活を持続的に支える「強い物流」を実現していくため、6つの視点から政府が今後進める取り組みを示した。プログラムは、その大綱をより具体的にブレイクダウンしたものだ。

例えば、6つの視点のうち「繋がる」では、連携・協働による物流の効率化を促した。在庫や多頻度輸送を見直し、波動を抑制して稼動率を向上させる方針を打ち出した。

数値目標としては、現在40%のトラック積載効率を50%に高めることや、コンビニの全取扱商品にRFIDを貼付する指標を示した。コンビニ商品に貼付することでサプライチェーン全体の効率化を図ろうという狙いだ。2025年に推計1000億個の電子タグを貼付することをめざす。

2つ目の視点「見える」では、物流の透明化と、それを通じた働き方改革の実現をめざす。運送以外のサービスの対価を収受しやすくするため、国交省では標準運送約款を改正したが、荷主との間で契約内容の書面化を推進し、トラック運送事業での書面化率を50%から60%に引き上げることを数値目標に掲げた。

3つ目の「支える」では、インフラの機能強化、4つ目の「備える」では、ラストマイルを含む円滑な支援物資輸送体制などを打ち出し、5つ目の「革新的に変化する」では新技術の活用による“物流革命”、最後の「育てる」では、人材の確保・育成などを盛り込んだ。

新技術としては、2020年に高速道路(新東名)での後続無人隊列走行を実現するほか、ドローンについては、2018年に山間部での荷物配送、2020年代には人口密度の高い都市での荷物配送を本格化するとしている。

これらの施策を推進することにより、物流事業の労働生産性を2020年度までに2割程度向上させ、将来的には全産業平均並みに引き上げることをめざす。