毎月が繁忙期のトラック輸送

トラック運賃がこの3カ月間、急上昇している。全日本トラック協会(全ト協)と日本貨物運送協同組合連合会(日貨協連)が毎月公表している、求荷求車情報ネットワークシステム「WebKIT」の9月の成約運賃指数が前月比6ポイント、前年同月比17ポイント上昇して136と、2010年4月に調査開始して以来、最も高い数値となった。

7月以降は、西日本豪雨や地震・台風など自然災害が重なり、豪雨災害による鉄道網寸断でトラックへの輸送需要が膨らんだことが要因だ。

7月は前月比5ポイント増で前年同月比10ポイント増、8月が同7ポイント増と同12ポイント増、9月は6ポイント増と17ポイント増と一服の気配は見られない。

9月のWebKIT求荷求車登録件数は、求車(荷物)が前年同月比34・1%増の18万1730件で、3月繁忙期の20万件に迫るなど、9月としては異例の増加だ。

10月に入っても求車情報件数は1日平均で1万件と繁忙期並みの情報量で推移しており、日貨協連では「当面、成約運賃指数が落ち込む材料は見当たらない」と、指数が140を超える可能性も想定している。

一方、日通総合研究所の企業物流短期動向調査(物流短観)によると、10~12月の荷動き指数は、前期(7~9月)実績のプラス6から5ポイント上昇しプラス11を見込む。プラスを示す業種は、前期から1業種増え15業種のうち13業種となる。

こうした堅調な荷動きを背景に、トラック運賃の動向指数は上昇基調を鮮明にしている。一般トラックの10~12月見通しは、前期比4ポイント増のプラス42を見込む。特別積合せトラックも同1ポイント増のプラス37など、全てのモードでプラス見通しを示した。

荷動き指数や運賃動向指数は、荷主企業の物流担当者が実績見込みと次期見通しを「増加する(値上がり)」、「横ばい(変わらない)」、「減少する(値下がり)」の選択肢から回答したものを数値化したものである。

荷主企業の物流担当者は、10~12月について、輸送需要増と運賃上昇を織り込んでいることがわかる。

製造業の企業では、「エネルギーコストや物流経費の上昇分を自助努力だけでは吸収できない」状況を訴え、毎月のように「製品の安定供給や品質・サービス維持」を理由に、値上げに踏み切っている。

トラック運送事業も燃料価格の高騰、採算に見合う運賃料金など、輸送の安全などを担保するための運賃交渉をためらっては、輸送品質を維持できないであろう。