死亡事故の減少期待

営業用トラックが第一当事者となる死亡事故率が着実に減少している。

全日本トラック協会は、一昨年秋、車両1万台当たりの死亡事故件数を「2.0」件以下とする新たな数値目標を設定した。その1万台当たり死亡事故件数が、2013年度2.9件、2014年度2.7件、2015年度2.5件へと減少し、この統計を取り始めてからは2年連続で減少した。

2015年は、死亡事故件数が6.7%減の308件で、営業用トラックの車両数が123万1758台だったため、1万台当たり件数は「2.5件」となった。

一方、1万台当たり死亡事故件数を「2.0」件以下にする目標は、各都道府県の共有目標でもある。各県ナンバー別(車籍別)の事故率を公表し、各地域が自主的に事故防止対策に取り組むことを促すためだ。

全ト協のそもそもの数値目標は、2018年に死者数を220人以下、人身事故件数を1万5000件以下とすることだが、業界全体の目標だけでは、地域ごとの事故防止への意識付け、動機付けが難しい。

ナンバー別の1万台当たり死亡事故件数は、いってみれば各都道府県の「成績表」だ。どの県が共有目標の「2.0件」以下を達成しているか、未達なのかが一目瞭然である。2015年は目標達成県が前年の12県から17県に増えており、喜ばしい。

最も少ないのは、0.0件で、北から秋田、島根、徳島、長崎、大分の5県だ。なかでも秋田と大分は2年連続で0.0件を記録している。

2014年、2015年と2年連続で「2.0件」以下だったのは、秋田、栃木、東京、愛知、島根、熊本、大分の7都県で、さらにこのうち3年連続で目標を達成したのは東京と島根だけとなる。

東京ナンバーの車両が起こした死亡事故件数は、2015年で16件だ。それでも車両数が9万5264台あるため、車両1万台当たりにすると1.7件となる。

一方、島根ナンバーのトラックが起こした死亡事故件数は、2015年はゼロだったが、2014年は1件あった。ただ、車両数が5836台と少ないため、1万台当たりだと1.7件となる。つまり、車両数が少ない県では、死亡事故が1件増減するだけで、目標達成の可否を左右することになる。

逆に2015年を件数の多さで見ると、どうしても山梨の6.8件が目立つ。死亡事故件数が1件→4件→5件へと年々増加傾向にあるのも気になる。京都、和歌山、岡山も1万台当たり5件を超えている。関係者の英知で減少することを期待したい。