正しい理解促す周知策を

例年なら10月9日「トラックの日」の関連イベントで各地は盛り上がる頃だが、今年はコロナウイルス感染症の影響で中止、延期を余儀なくされる。
コロナ禍でも物流を止めないトラック運送業界へ国民、社会の理解は高まっているのは確かであり、こうした姿を世に広く発信できる場づくりが必要だ。
全日本トラック協会がこのほど全国20~69歳の男女1000人から回答を得た意識調査からは、大半がトラック運送業は重要なライフランとの認識だが、トラックの日や各協会が行うイベントの認知率はまだまだ低く浸透されていないようだ。
現実的には非接触、ソーシャルディスタンスが求められる中で、その伝え方も工夫が必要だ。
九州トラック協会は今般、ユーチューブとSNSを活用した応援配信を企画した。9日午後6時に生配信し地元にゆかりのあるアーティストによるドライバーへの応援や、事業者からの動画発信などを通じて広くPRを図った。
コロナ禍でも現場で汗水流すドライバーとその家族への労いと、利用者、荷主も含め広く社会へ感謝の思いを表わした。
こうした感謝の気持ちが物流への理解促進ともなり、人手不足が深刻化する物流業界で仕事をしたいと感じてもらうメッセージに繋がるような周知策が望まれるところだ。
とくに若い世代に対してはSNS、ユーチューブの活用は有効であり、こうした事例を広く共有していきたい。
先の全ト協の意識調査からも、年代によって認知率などの差が見られる傾向にある。欠かせないライフラインであるとの認識はどの世代でも大多数を占めるが、そのウェートはシニア層がとくに高い。
一方でテレビやラジオでのトラック協会のCM接触率は20代が最も高かった。
トラック運送業界は中小事業者が大半だが、SNS、ユーチューブは個社独自の発想でPRに活用しているところも多いだろう。他業界の手法も参考にしながらウイズコロナでの、また新たな視点からの取り組みを促したい。
国はトラック運送業の生産性向上や働き方改革を進める各施策を拡充してきたが、こうした業界の周知策への一段の後押しも望まれる。
ホワイト物流推進運動の一般に向けた発信や、先月から申請受付を開始した働きやすい職場認証制度もインセンティブを拡充し、多くの事業者がその存在を広く主張できる環境づくりに目を向けたい。