業種の枠超え課題解決

異業種3社が連携し、フェリーによるトレーラー利用の共同幹線輸送を関東・四国・九州間で、この22日から開始した。船舶とトレーラーを活用し、モーダルシフトとラウンド輸送を実現した。

異業種3社は、レンタルパレット業界の日本パレットレンタル、食品業界のキユーピー、トイレタリー業界のライオン。積載するのはパレット、調味料・加工食品、ハンドソープ・ボディソープなどだ。

これまで3社は、日本レンタルパレットが九州~関西、キユーピーが関東~九州、ライオンが四国~関東と各社個別にトラック等を手配し、商品などを片荷で陸送していた。

物流業界は、深刻な社会問題となっているドライバー不足やCO2排出量削減、ドライバーの労働環境改善などの課題に直面している。共通の課題を持つ3社は、課題に対応するため検討を始め、6月、関東~九州間の往復でテストを実施した。

関東~九州間の往復は、総移動距離が2811㌔㍍にも及ぶが、テスト結果では、トラックからフェリーへ共同モーダルシフト(無人航送)することで、空車はわずか14㌔㍍だった。

総移動距離2811㌔㍍のうち、実に2797㌔㍍で貨物を積載するため、実車率は99・5%を実現した。共同トレーラーによる陸送は、拠点と港からのフィーダー輸送のみのため、各社ごとのトラック輸送よりもCO2排出削減量は62%低減、ドライバーの運転時間は76%削減などの効果が見られたという。

物流業界では、ドライバー不足への対応、ドライバーの長時間拘束など労働環境の改善、CO2削減など地球環境問題が課題となっている。安定的な輸送を実現するには、持続可能な物流網の構築が求められている。その一つがモーダルシフト、共同輸送である。

これまでビール業界などが共同配送センターを開設し、鉄道コンテナによる共同輸送で、長距離トラック輸送をモーダルシフトしている。今回は同業界以外に、業種を超えた異業種3社によるフェリーとトレーラーを活用した共同輸送である。

国土交通省は、この取り組みを、モーダルシフト支援法ともいわれる物流総合効率化法に基づく、総合効率化計画として認定した。

今後の展開について、日本パレットレンタルでは「業界業種に関わらずパートナーとなりうる企業と積極的に取り組みを広げ、持続可能な物流網の構築を進めたい」という。

業界業種の枠を超えて取り組みたいという荷主企業が増えることを期待したい。