安全・安心提供で確かな信頼

1-8月の事業用トラックによる第1当事者死亡事故件数(軽貨物除く)は103件と前年同期(124件)に対し17%の減少となっている。8月単月は1件減の14件で、2月と7月を除き前年を下回る推移。年々減少傾向だが、日々安全運行を確保し事故防止対策を徹底したい。
2021年の事業用トラックによる死亡事故件数は200件(前年207件)、人身事故件数は9415件(同9449件)。全日本トラック協会によると、トラック業界の「プラン2020」目標値だった「人身事故1万2500件」に対しては大幅に下回り、「死亡事故件数車両台数1万台あたり1・5件以下」は1年遅れで達成した。
21年度からの「プラン2025」では目標値を「死者数と重傷者数の合計970人以下/飲酒運転事故件数ゼロ」を掲げる。この970人以下とするには1万台あたり死者数・重傷者数を6・5人とする必要があるが、21年度の件数からは15都道県が達成している。しかし全体平均では8・6人で前年の7・7人から増加。死者数は減少しているが、重傷者数が15%ほど増加している。死傷事故の半数を占める追突事故、4割を占める交差点事故の防止対策が急務だ。
飲酒運転は「根絶」に対し件数は減少傾向だが今年に入ってからも続発している。昨年6月に発生した白ナンバーの事故のように一般メディアに大きく取り上げられると業界全体のイメージ悪化につながってしまう。
全ト協では昨年9月に「飲酒運転根絶に向けたトラック運送業界の取り組みの強化」を決議し、飲酒運転を行わない旨の署名を所属のトラックドライバーなどが行う活動を新たに盛り込んだ。各地で署名活動や警察と連携した啓発活動も行われており意識は高まっている。改訂したマニュアルにはアルコール依存症への対応など、好事例の横展開を促しておりさらなる周知も必要だ。
一方で、EC需要の増加により軽貨物の事故が増えている。人身事故件数も軽貨物を加えると21年は1万4031件(20年1万3500件)と増加。軽貨物で4616件(20年4051件)と14%伸びた。さらに市場拡大が進む中でこれらの動きも注視する必要がある。
トラックは地域の暮らしと経済を支える重要インフラであるとの認識は高まっている。さらなる事故低減が安全・安心を提供し、その信頼を確かなものにすることをあらためて肝に銘じたい。