大手5社の決算出そろう

陸運大手5社の決算が出そろった。5社の17年3月期売上高合計は、前期比0・2%減の5兆4943億円、前期を103億円下回り、営業利益も14・4%減の1983億円と2000億円を割った。売上高は2社が減収で、増収だった企業の伸び率も鈍化した。

ただ、同時に発表した5社の今期業績予想では、回復傾向がみられる。5社合計の売上高は前期比3・1%増の5兆6620億円を見込んでいる。金額ベースでは1677億円の増収だ。

5社合計の営業利益も前期比6・9%増を見込んでおり、2120億円へと再び2000億円台に回復する見通しだ。経常利益は5・2%増の2201億円、純利益は8・2%増の1249億円を予想している。5社合計の売上高営業利益率は前期をわずかに上回る3・8%と3%台後半になる。

今期の売上高予想をみると、日本通運、ヤマトホールディングス、SGホールディングス、日立物流、セイノーホールディングスの5社すべてが増収を見込んでいる。SGHが陸運関係では、日通、ヤマトに次いで1兆円企業となる見通しだが、これは決算対象期間を見直すことの影響が大きい。

日通は、人件費や燃料費の上昇などに対して、運賃への転嫁に取り組むことにより、2期ぶり増収増益の見通しだ。

ヤマトHDは、宅急便の大口顧客への総量抑制や適正運賃収受に取り組み、下期には効果が期待できる。

ヤマトは今期、宅急便の取扱個数を前期比で4・4%減少させる計画だ。個数ベースでは8250万個も減らし、宅急便単価を前年比33円増の592円に引き上げる。

SGHも宅配便事業で適正運賃の収受に取り組む。日立物流との連携によるシナジー(協業)効果は売上高に寄与している。日立物流では、売上だけでなく、多様な展開に期待している。

セイノーHDは、17年3月期に売上高、利益で過去最高を更新した。主力の輸送事業で利益重視の施策である適正運賃・諸料金収受・燃料サーチャージ収受の交渉を積極的に展開する方針だ。

適正運賃収受の取り組みは中小でも積極的に行われている。4月のWebKIT成約運賃指数は「115」と依然として高い水準だ。4月の求車登録件数は前年同月比22・7%増の10万件超で、スポット輸送の旺盛な需要を感じさせる。

単に数量を追うのではなく、適正な利益構造に組み替えることが求められている。