大手4社の決算出そろう

陸運大手4社の2019年3月期中間決算と通期業績予想が出そろった。中間決算は、4社の売上高合計が前年同期比8・5%増の2兆7244億円、前期を2134億円上回った。営業利益は68・4%増の1049億円と1千億円を超えた。売上高、営業利益ともに4社すべてが増収増益となった。

同時に発表した4社の通期業績予想も、4社すべてが前期を上回る見込みだ。4社合計の売上高は前期実績に比べ4・9%増??の5兆5400億円を見込んでいる。金額ベースでは2604億円の増収だ。

4社合計の営業利益は同21・7%増の2415億円と2千億円を大きく上回る見通しだ。経常利益も21・4%増の2521億円と2500億円を突破する。純利益は2・3倍増の1440億円に達する。4社合計の売上高営業利益率は前期の4・3%から4・4%に上昇する。

今期の売上高予想をみると、日本通運、ヤマトホールディングス、SGホールディングス、日立物流の4社すべてが増収を見込んでいる。

日通は、人件費や燃料費の上昇などに対して、運賃への転嫁に取り組む方針で、運賃改定効果として年間80億円増加させる計画を120億円に引き上げる。売上高は中計で掲げた2兆1500億円が射程圏に入っており、純利益も450億円と回復し、いずれも過去最高を更新する見通しだ。

ヤマトHDは、宅急便の大口顧客への総量抑制や適正運賃収受に取り組み、利益が大きく回復している。宅急便の取扱量は減少を見込んでいるものの単価の適正化が奏功していおり、通期の売上高、利益を上方修正した。営業益と経常益はともに50億円増の660億円に引き上げた。

SGHは好調だ。8月の上方修正に続き、中間期の業績が計画を上回り、今回2回目の上方修正だ。適正運賃への取り組みなどにより、売上高は前回予想に比べ250億円増の1兆1000億円、営業益は15億円増の675億円とした。宅配便の平均単価は前回の607円から614円を見込んだ。通期の売上高営業利益率は6・1%を見込む。

日立物流は、中間業績が計画通り推移し、通期も増収増益を計画している。SGHとの連携によるシナジー(協創)効果は売上高に寄与している。同社では売上だけでなく、多様な展開に期待している。

適正運賃収受の取り組みは中小でも積極的に行われているが、運賃改定は進んでいるものの、「希望する運賃に届いていない」と嘆く事業者の声が聞かれる。適正な利益構造を求める取り組みが求められる。