地域共生へ物流の役割大
日本GLPが相模原市で開発を進める4棟総延床面積67万平方㍍超の物流施設「アルファリンク相模原」で、佐川急便、西濃運輸、相模原市との初の合同救援物資配送訓練が行われた。4者の連携、大規模施設の活用、自動マテハンによる物資仕分けなど、災害時における物流業界の役割もより進化している。
GLP、相模原市は佐川急便、西濃運輸とそれぞれ3者間で災害協定を締結、これに基づき救援物資の受け入れ、避難所への物資仕分け、配送まで一連の流れをシミュレーションした。同施設は発災後4日以降に届く国のプッシュ型支援による物資の受入れ拠点として市の指定を受けている。
先行稼働した「相模原1」に拠点を置く佐川急便、西濃運輸はともに集配に倉庫のロジ機能を併設。プッシュ型で全国からの支援物資が多量となっても保管して発送を待つ間に仕分けを行える。
相模原市は小中学校など105カ所の避難先を指定しており、迅速に届けるよう4千個/時の能力がある自動マテハンを活用。コンベアに物資を積むのは手作業だが、職員の疲弊感を軽減する。高度に最適化・自動化された物流システム、設備が災害時も有効に機能する。
こうした災害時対応も平時からの関係者間の連携が不可欠だ。とりわけ地域との強い関係性が求められる。
佐川急便は全国227の自治体と災害協定を締結(9月末)するほか、地域活性化、サービス向上への「包括連携協定」も各地で相次ぎ締結、双方の強み・リソースを生かして地域毎のニーズに応じた課題解決に積極的に取り組んでいる。
西濃運輸はセイノーホールディングスがドローンを含む次世代高度技術を活用した、新スマート物流包括連携協定を各地で締結している。自治体もこうした地域課題の解決に貢献する物流事業者への期待が高まっているのは確かだ。
GLPでは国内20の自治体と防災協定を締結する。施設の提供のほか、大型の「アルファリンク」では開かれた物流施設を標ぼうし、「相模原」では入居企業、地域、地元メディアなど日頃から連携して各種イベントなどを行っている。
施設のハード面は勿論、災害時に支援拠点となることを自治体職員や避難所関係者、近隣住民に認知されることで発災時の円滑な初動を促す。
物流業界が取り組む最適化・効率化の動きが環境面、災害時対応、地域共生へ大きな役割を果たすことを広く発信したい。