地域共生で物流地位向上

日本GLPが千葉県流山市に8棟で総延床面積約92万平方㍍という単一企業では国内最大級の物流施設開発プロジェクトの中核となる「アルファリンク流山8」を竣工、報道に公開した。共用スペースなど施設の1部を地域に開放した物流施設の〝見せる化〟や、サプライチェーンの機能統合、入居企業間の共創促進と、物流施設の新たな価値創造に着目したい。
同社が〝アルファリンク〟のコンセプトを表明したのが一昨年の相模原の開発発表時。物流施設をブランド化し関係事業者だけでなく、地域との共生を大きな理念に打ち出した。
相模原の一棟目も「流山8」と同じくこのほど竣工したが、コロナ禍の環境下でも建設、リーシングが順調に進んでいる。流山は4階建て延床面積16万平方㍍の8割超が契約済で、年内にも満床の見込み。立地や施設・設備のハード面とともに、〝アルファリンク〟の考え方に対し物流事業者から賛同を得ている。
「流山8」では生産加工、保管、流通加工、配送まで物流サプライチェーンをトータルで網羅し、人材、輸配送、自動倉庫などのシェアリングも具現化する。自動化・機械化の一方で、多様なスキルによる雇用確保の可能性も広がる。そして大規模施設における入居企業間による新たなビジネス機会、共創への取り組みへの期待も大きい。
事業者からの賛同を得る一方、いかに地域と共生していくか。流山のプロジェクトでは流山市、佐川急便と3者による災害協定を締結したほか、施設、敷地を活用したイベントなども行う考えだ。
GLPの帖佐義之社長はこうした〝オープンハブ〟への思い入れが強い。「物流業務はこれまで表に出ない縁の下の力持ち的な存在だった。直接的にコストがかかるため低コストに抑える。だが決してバックヤードにいる必要はない。物流は日常生活に欠かせない社会インフラであり、そのギャプを埋めていきたい」と主張する。
地域住民も利用できる交流広場を設けるなど〝見せる化〟を進め、物流業務のイメージを高めることで「コストセンターであった物流施設がプロフィットセンターになる」と展望する。
各地で物流施設の新規開発が後を絶たない。働く人たちの快適性に、施設の環境性能、BCP(事業持続化計画)はもはや標準装備である。
大規模施設ではそのスケールを生かし、街づくり視点で地域への貢献も求められる。この期待に応えることが物流の地位向上に着実につながる。