地位向上へ適正運賃収受を

3年ぶりの開催となった全国トラック運送事業者大会。5日に名古屋市で開かれ、全国から1100人を超える事業者が参加、厳しい事業環境が続く中でも諸課題に勇気と英断をもって果敢に対応することを確認した。
前回の大会が2019年10月の千葉市。その後の新型コロナ感染拡大の影響で開催は見合わせていた。名古屋市では昨年の開催を予定していたが、緊急事態宣言の対象地域となり中止に。コロナの影響は長期化し閉塞した現状を打開するにも条件が整えば苦境を乗り切る契機として、中部トラック協会が準備を進め開催に漕ぎつけた。
この3年ではコロナ感染症による事業環境の変化、そして燃料価格高騰に円安傾向と景気を下押しする要因が重なり先行き不透明感は増す。ただ、経済正常化へのプラス材料も着実に表れ、物量は総体的には回復傾向にある。新規感染者数も小康状態となり、緩やかながらも正常化が進むにつれ、ライフラインを担うトラック運送事業者がしっかりとその機能を果たすことが求められる。
大会の冒頭、全日本トラック協会の坂本克己会長は、標準的な運賃や荷主対策の深度化など改正事業法による各施策に触れ、政府の「パートナーシップによる価値創造のための価格転嫁推進パッケージ」にも言及。国土交通省ほか関係省庁も巻き込むなど適正運賃収受への強い後ろ盾があり、「勇気をもって荷主に交渉してほしい」と重ねて呼び掛けた。
標準的な運賃、荷主対策の深度化は2024年3月までの時限措置であり、制度の延長にも事業者がこれを活用して有用性を示すことが前提だ。そのためにも「適正運賃収受」を徹底していくことを広く訴えなければならない。「2024年問題」への対応も踏まえ、まさしく正念場であるこの時期に全国事業者が参集し一致団結する意義は大きい。
改正改善基準告示の内容もまとまった。来賓挨拶した堀内丈太郎自動車局長は「長時間荷待ちの取引環境が是正しなければ実効性は上がらない」とし荷主への理解を促し、働き掛けにも引き続き注力していく姿勢を述べる。
愛知県では19年ぶりの開催。寺岡洋一中部トラック協会会長は、挨拶の中で、当時は荷主から下請け業者の位置付けが、協力会社、ビジネスパートナー、エッセンシャルワーカーと地位向上を積み重ねてきたと振り返る。
さらなるトラック運送業界の地位向上には、まず適正運賃収受へ行動を起こしていくことだ。