協調領域広げ効率化を
日本物流団体連合会(物流連)がパレット利用実態調査の中間報告を取りまとめた。業種・輸送モード別の課題が浮き彫りとなり、サイズ標準化・統一化についても業種・品目別に温度差がある。
パレット化に関しては昨年6月に発足した官民物流標準化懇談会のもと、分科会で議論を進め、今夏にもこれからパレット化を図る事業者へ推奨規格を示す予定である。全体のパレットの運用・規格標準化についても荷主へ調査を行い、2023年までにまとめる考えで、集中的に議論を進めている。
物流連の調査活動もこの分科会と連携する。パレット利用の実態調査は20年程前に遡り、以後定量的データが確認できなかった。今般、物流施設のパレット利用実態を定量化、物流事業者側からみた現状と課題分析を目的にアンケート、ヒアリングを行い中間報告として公表した。
一貫パレチゼーションが進まないのは流出・紛失防止や積載量の確保、ロットの小ささなどがあげられる。コスト要因も多く関係者のトレード・オフとなる問題は従前から指摘されてきた。物流連では「発着荷主、物流事業者間で解決への協議が進まなかった」とし、「非効率的なオペレーションで物流サービスの供給に限界がくることがヒアリングから推測される」と強い危機感を持つ。
物流標準化が古くて新しい課題とされるのはこうしたサプライチェーン間の協議が進まないことにある。一方で官民物流標準化懇談会をはじめとした国の施策や、荷主側も物が運べなくなる危機意識から、業種によっては物流改善の動きが加速化しているのも確かだ。
紙おむつ・生理用品業界では、メーカー、卸売業者、運送事業者間で、T11型を使用し荷量の多い商品を23年度までパレット輸送に取り組むなどアクションプランに合意した。こちらも官民連携の研究会で検討を重ね、参画した事業者が確実に実行に移す。業界大手各社が名を連ねており、パレット化とDFL(デザインフォーロジスティクス)を促進する。
物流連の調査でもビール・飲料、レンタルパレット業界では発荷主が負担コストを抑えるべくパレットの共同利用・回収などの循環利用を推進、協調領域を広げ効率化する成功事例もある。
ドライバーの長時間労働の改善・物流の生産性向上は喫緊の課題。各業種商慣習もあろうが、これら事例も広く共有し「2024年問題」の時限を見据えた対応が急務だ。