制度を活用し着実な前進を

政府は新たに「物流革新緊急パッケージ」を取りまとめた。6月に「政策パッケージ」を打ち出したが、さらに緊急に取り組むべき施策を示し物流の2024年問題に正面から向き合う。
モーダルシフトの10年で倍増や、宅配再配達率半減へ柔軟な受取方法による消費者へのポイント付与など、政策パッケージで掲げた方向をより具体的に提示した。
時間外労働時間の上限規制適用、いわゆる24年問題が迫り早期に成果も求められるが、24年問題対策を契機に物流改善は着実に進んでおり、政府の施策がこれをしっかり後押しするよう着実な実効性が求められる。
9月28日に岸田文雄総理が全ト協の浅井隆副会長が社長を務める浅井を訪れ、現場視察、車座対話を行い、そこで緊急パッケージを取りまとめることを表明した。
全ト協の坂本克己会長は4日に札幌で開かれた事業者大会でこの件に言及し、「現役総理がトラックの現場を視察するのは初めてで、皆さんが社会インフラとして懸命に務めていることの評価」と感謝の意を述べた。同時に政府の一連のパッケージ施策もトラック法の「標準的な運賃」や「荷主対策の深度化」という議員立法で成立し制度がベースにあり、業界一丸となり作ったこれら制度をしっかり活用することと強く求めた。
時限措置が延長した「標準的な運賃」は見直しが進められ、国交省が7月に創設した「トラックGメン」が監視体制を強化し他省庁とも連携してトラックの適正運賃収受の取り組みを支援する。
こうした措置も現場の運送事業者による荷主の情報が不可欠だ。「トラックGメン」は総勢162人がプッシュ型の収集活動を行っているが、これに応じて情報を提供していかなければ制度の実効性も確保できない。
国交省の小熊弘明貨物流通事業課長課長は全ト協の事業者大会シンポジウムで「まず荷主と運賃交渉し、問題があれば情報をいただき、トラックGメンが動く」と適正運賃収受へ動き、国がしっかりフォローすると述べている。
足元の燃料価格高騰は政府の助成金拡充もあり落ち着いてきたが依然高水準であり、とりわけ小規模事業者の経営を圧迫する。標準的な運賃、同じく国の告示制度である燃料サーチャージを活用しなければ前に進めない。
24年問題を契機とした政府、国の施策を後ろ盾に声を上げ毅然として交渉に臨みたい。