今こそ適正運賃収受のチャンス

国内景気は、回復傾向が続いているようだ。大手企業も含む帝国データバンクの景気動向調査によると、3月の景気DIは前月比0・8ポイント増の45・2で、2カ月連続して改善した。

業界別では「製造」「小売」「サービス」「運輸・倉庫」など7業界が改善、「不動産」など3業界が悪化した。とくに「サービス」業界は事業者向け、個人向けとも好調で、景況感は7カ月連続で上昇し、1年7カ月ぶりに景気DIが50台を回復した。

国内景気は、自動車部品関連の生産・販売が引き続き上向き傾向で推移し、景気全体を押し上げる要因となった。好調な輸出や東京五輪に向けた建設投資の本格化を背景に、緩やかな回復が続く見込みだ。

「運輸・倉庫」業界の景気DIは、前月比1・8ポイント増の45・6と、2カ月ぶりに改善した。地域的にも全国10ブロックのうち、8ブロックで改善した。

事業者からは「五輪関連事業が東京でようやく動き出し、それに引っ張られて活気が出はじめている」「年度末の物量が若干増加傾向にある」(トラック運送)、「消費の動きが多少出てきた感がある」(普通倉庫)など改善の声が聞かれた。

その一方で、「中国向け輸出貨物の取扱量が減っている」(運輸に付帯するサービス)「労働力の不足が一段と進み、生産性が鈍ってしまう懸念が強い」(トラック運送)などの悪化要因もある。

中小企業を対象に全国中小企業団体中央会(全国中央会)が実施した景況調査によると、3月は売上高、景況、収益状況の主要3指標が上昇したが、一進一退の状況だ。

運輸業の売上高DIはプラス3・8で、前月(マイナス13・7)に比べ17・5ポイントと大幅に上昇し、3年3カ月ぶりに水面下から浮上した。年度末需要が売上げを押し上げていることに加え、決算月の受注増もあって大きく上昇した。

しかし、景況DIはマイナス19・0と前月(同23・4)よりわずかな上昇にとどまり、低迷している。需要増に対する稼働率の上昇で、人手不足と過重労働が深刻化していることに加え、燃料の値上がり傾向が先行きの不安材料となっている。

とくに、慢性的な人手不足は企業収益を圧迫している。顧客から新規案件などの引き合いがあるにもかかわらず、人員の確保に苦労する事業者は少なくない。

大手宅配便会社は、人手不足と過重労働の解消をめざし、運賃料金の値上げを決定した。景気好転の今こそ、適正運賃収受のチャンスだ。