リスク想定し安全確保を

9月は防災月間。新型コロナウイルス感染拡大による「非常時」が続く中で、豪雨、台風など自然災害の激甚化リスクも年々高まっている。あらゆる事態に備えなければならない。
国民生活と経済活動を支えるトラック運送事業者は、リスクの影響をできるだけ抑え、物流を止めない対策が求められる。そして災害時は支援物資輸送の重要な役割を担う。対策をしっかり講じるにも平時から緊張感を持って業務にあたらなければならない。荷主、一般社会の理解をさらに深めることが必要だ。
支援物資輸送の円滑化、さらに荷主と物流事業者の連携体制などサプライチェーン全体で災害に強い物流システムを構築するにもBCP(事業継続計画)が欠かせない。
経営側はBCP(事業継続計画)策定について、自然災害のみならず、感染症やテロなど多様化するリスクへの対応にも注視する必要がある。中小零細が多くを占めるトラック運送業界では難しい課題だ。
全日本トラック協会がBCP策定の手引きとして「リスク対策ガイドブック」を作成した。中小・零細事業者に焦点を当て、社内独自の情報を入れればそのまま運用できるイージーオーダー型。BCPを理解できるよう基本的な知識を平易に解説しており、ホームページのひな形に情報を記入して作成できるので広く活用を促したい。
自然災害では昨年末から年初にかけての大雪時による滞留問題が記憶に新しい。国土交通省は立ち往生発生の原因を解明する実証を実施し啓発活動を行うという。多発化、激甚化する自然災害に対し、自動車分野の新技術も活用した被災防止策が急がれる。
何よりドライバーの安全確保が第一だ。
大雪時の対策では荷主に対して運行回避への理解を求めるよう省庁連絡体制を構築しており、その実効性が期待される。
異常気象時におけるトラックの輸送安全確保については、改正事業法で荷主から安全な輸送確保が困難な状況で運行を強要する行為があった場合も、働き掛けや要請、勧告・公表の対象となっており、あらためて広く周知徹底したい。
異常気象時の輸送判断目安も設定されたが、よりきめ細かな設定を求める声が多く聞かれる。
突発的な気象変動もあり、暴風によるトラックの横転や土砂崩れによる通行止めも頻繁に発生している。物流の確保、ドライバーの安全確保へ、できるところからリスクを想定して対策を講じたい。