ポストコロナへ立ち直る環境を
緊急事態宣言の再発出による影響を織り込むと、トラックの景況感は再び下降局面にあるようだ。全日本トラック協会の景況感調査では、判断指標の予想(1-3月期)は10-12月期より6・3ポイント下がる。ただ下げ幅は小さく、宣言の解除時期が早まれば状況も変わるだろう。
全ト協の10-12月期景況感では、宅配貨物の増勢に加え、一般貨物、特積も上向き。4-6月期を底に緩やかながらも回復基調にある。予想では宅配は運賃・料金、数量とも上昇。一般貨物は運賃・料金、数量ともやや悪化、特積は運賃・料金は改善するが、数量は悪化する見通しだ。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、輸送品目でばらつきが見られる状況が続く。EC拡大による宅配の急伸が目を引く一方、回復してきた製造業の荷動きの動向が不透明だ。
国土交通省の調査によると、トラック運送事業者の1月の運送収入が、前年同月より2割以上減少した事業者は全体の14%と前月(12月12%)より増えた。12月から再び増加に転じ、今後も2月16%、3月17%の予想とさらに悪化する。とくに3割以上減少した事業者が昨年10月以降増加傾向にあり、この辺りを注視する必要がある。
一般景況は「一時的な後退はみられるが春頃を底に緩やかに上向く」(帝国データバンク)とされるが、依然として感染症収束の見通しは立たず先行き不透明感は拭えない。
物流大手、上場各社の今期業績見通しは、足元の環境を織り込みながらもコスト削減策が前倒しに進み上方修正も相次いだ。しかしトラック運送業の多くを占める小規模事業者にはコスト合理化の自助努力も限界がある。支援策等これまで何とか凌いできたところも体力をどこまで維持できるか予断を許さない。
国交省調査では、資金繰り支援や雇用調整助成金の給付済事業者は約4割で、タクシーやバスなど他の関係業界と比較すると割合は小さい。それだけコロナの影響度は低い印象を与えるが、一方で収入3割以上減少の事業者が増えている現実がある。
国はポストコロナ、アフターコロナへ予算措置を講じ、物流業界にも非接触・非対面、DX(デジタルトランスフォーメーション)装備などへの施策が拡充される。
これらが好循環となり、荷動き活性化と生産性向上につながる期待は大きいが、社会的インフラのトラック運送業界で回復のメドが立たない事業者がしっかり立ち直れる足元の改善策、支援等が急務だ。