コロナ危機乗り越えよう
新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響が深刻だ。帝国データバンク(TDB)が発表した2月の運輸・倉庫業の景気指標は34・0に悪化し、前月からの下げ幅は過去最大。国内景気は緩やかな後退が続くと厳しい見方だ。
10-12月期GDPが大きく落ち込み、景況悪化による荷動きの停滞が続く中で、新型コロナの影響が日増しに広がり、需給両面で多方面に打撃を与えている。
この状況がいつまで続くかが不透明なだけに経済活動への影響度合いも増す。企業への各種調査からも多くが新型コロナによる業績悪化を見通す。中国の経済活動が停滞し、日系の流通業、製造業など幅広い業種の活動が寸断され、納期遅延が各地で発生、再開も読めない。
国内も訪日客と生産縮小、さらに職場のテレワークや学校の休校、イベントや外出自粛と、個人消費が大きく落ち込むことでサプライチェーンに被害を及ぼす。長引けば従前より厳しい経営を強いられる。コロナショックで経営が行きづまった企業も明らかになっている。
物流業界でも感染者の発生が確認され、事業者の感染拡大防止策に一段の対応が迫られる。
輸送業務にテレワークの手段はない。人手不足の中でインフラとしての機能を維持しなければならない。一方で今般の物量の減少は、イベント関係など輸送品目によっては甚大な被害を受けるところもある。とくに中小事業者は経営存続にかかり、相応の支援策が求められる。
今後、感染拡大の終息を見通し生産活動、商流が正常に戻った時に、物流がしっかり機能できる環境でなければならない。
サプライチェーンの混乱は物流にしわ寄せがくる。
トイレットペーパーが品薄になった件で、安倍晋三首相は3日の参院予算委員会で、「トラックなどの供給力の問題があるが、在庫は十分にある」と国民に冷静な購買を呼びかけた。国産中心で在庫の問題はないとのことで、トラック事業者も迅速に対応しているが、かさばる商材だけに店頭数量も限られ、輸送がそれに追いつけるかは対策の必要がある。
何より需給安定化が望まれるが、終息時における様々な活動の再開時期の判断が難しい。とりわけ年度末の納期・工期も大きく関わるだけに、企業の受発注においても物流インフラの確保を見越した柔軟な設定が必要だ。
コロナ危機は、経営を圧迫する要因が重なるが、こうした時こそ経済活動、生活を支えるインフラ機能への期待と物流の役割は大きい。